需給動向 海外 |
豚肉価格、供給減により上昇基調が続く |
繁殖豚頭数は前年比3.9%減少米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が3月26日に公表した豚飼養動向調査「Quarterly Hogs and Pigs」によると、3月1日現在の豚総飼養頭数は前年を2.8%下回る6398万8千頭となった。繁殖豚頭数は576万頭と前年を3.9%下回り、2008年6月に前年水準を下回って以降8期連続の減少、さらに減少幅は同期間で最大で、市場予測を上回った。 母豚分娩頭数は2年にわたりほぼ一貫して前年同月を下回って推移し、2月は95万2千頭と前年同月を4.9%下回った。NASSによると本年3〜5月の母豚分娩頭数は289万8千頭(同4.0%減)、6〜8月は288万7千頭(同2.4%減)と見込まれており、減少傾向は当面続くものと考えられる。 一方、1腹当たりの産子数は衛生環境の改善などから増加傾向で推移しており、2月は9.62頭(前年同月比1.4%増)となっている。生産性の向上を反映した産子数の微増傾向は続くものの、頭数の削減率の方が大きく飼養頭数の減少傾向に歯止めを掛けるまでには至らないとみられる。
伸び悩む1頭当たりの枝肉重量NASSが4月23日に公表した「Livestock Slaughter」によると、本年3月の肉豚と畜頭数は、1003万頭と前年同月を3.9%上回った。稼働日数調整後では0.6%減となり引き続き減少傾向で推移している。 1頭当たりの枝肉重量は、飼料穀物価格が安定していることから、ほぼ1年にわたり前年同月を上回って推移してきたが昨年12月から本年2月はわずかに前年を下回り、3月も204ポンド(92.5キログラム)と前年水準にとどまった。2009/10年産のトウモロコシは、豊作が見込まれ価格は下落基調にあるものの、品質についてはカロリーが少ないため豚の増体が良くないという声もあり、生産量の抑制要因の一つとなっている。
予測を上回り上昇する豚肉価格約2年にわたる生産調整による供給減と景気の回復基調から、需給は改善の兆しが見え、本年3月では、豚肉卸売価格(カットアウトバリュー)は前年同月を27.3%上回る100ポンド当たり73.7ドル(キログラム当たり約154円:1ドル≒95円)、肥育豚価格(全米平均、赤身率51〜52%)は同23.5%上回る同52.4ドル(約110円)となった。 同省経済調査局(USDA/ERS)が4月21日に公表した需給予測によると、2010年第1四半期の豚肉生産量は56億1千万ポンド(254万3千トン)、肥育豚価格は100ポンド当たり50.41ドル(キログラム当たり約105円)とされている。 1月20日公表のERSの需給予測では、2010年第1四半期の豚肉生産量は57億500万ポンド(258万8千トン)、肥育豚価格は同43〜45ドル(約86〜90円)とされていた。このことから予測以上の減産により、価格が上昇していることが分かる。この価格が夏に向けてさらに上昇するか今後の動向が注目される。
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