牛の飼養頭数は過去51年で最少の飼養頭数を記録
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が1月29日に公表した牛の飼養動向調査「Cattle」によると、2010年1月1日現在における牛の総飼養頭数は、前年同月を0.9%(82万頭)下回る9370万1千頭となった。これは9332万2千頭となった1959年以降の過去51年間で最も少ない飼養頭数となる。
米国のキャトルサイクルは、ほぼ10年を波長とする変動を繰り返しながら1975年の1億3202万8千頭をピークに減少傾向にある。今回のキャトルサイクルは2004年の9488万8千頭を底に上昇に転じたが、テキサス州を中心とした干ばつの影響、飼料コストの高騰などの影響を受け、2007年の9700万3千頭をピークに減少局面に入り2008年から3年間で飼養頭数は330万頭減少した。
図1 牛の総飼養頭数の推移
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更新用肉用雌牛は前年同月比1.7%減の一方、更新用乳用雌牛は2.4%増
2010年1月1日現在の飼養頭数を部門別に見ると、肉用繁殖雌牛は3137万6千頭と前年同月を1.1%(33万6千頭)下回った。また、500ポンド(277キログラム)以上の更新用肉用雌牛(未経産牛)の飼養頭数も543万6千頭と前年同月比1.7%減となり、4年連続前年を下回っていることから、牛飼養頭数の減少傾向は当面続くものと考えられる。
また、2009年の子牛生産頭数は、前年比0.9%減の3581万9千頭と前年に引き続き減少していることから、牛肉生産量は、今後数年間減少すると予測される。
一方、乳用牛部門は酪農協共同基金(CWT)を通じたとう汰事業などにより、乳用繁殖雌牛は908万1千頭と前年同月を2.7%下回る一方、更新用乳用雌牛は同2.4%増の451万6千頭となった。飼養頭数は減少しているものの、一頭当たり乳量の増加から生乳生産量はわずかな減少にとどまっており、今後の見通しについて予断を許される状況ではない。そのような状況において更新用乳用雌牛頭数の増加は酪農関係者を驚かせることとなった。
図2 更新用雌牛頭数の推移
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2009年12月のフィードロット導入頭数は前年同月比6.1%減
一方、USDAが1月22日に公表した「Cattle on Feed」によると、2010年1月1日現在のフィードロット(収容能力1000頭以上)における飼養頭数は、前年同月比2.0%減の1101万頭となった。2008年は96年以降最高水準となる1210万頭を記録したが、2009年以降2年連続で前年を下回っており、2004年以降では最も少ない。
12月の状況を見ると、出荷頭数は7月以降のフィードロットへの導入頭数の増加を受けて前年同月比3.5%増の174万2千頭となり、2008年より2年連続前年同月を上回っている。
一方、12月の導入頭数は前年同月を6.1%下回る154万6千頭となり、1999年以降で最も少ない。これは、飼料価格が比較的高い中にあって肥育牛価格が依然として上昇しないことから、肥育業者の導入意欲が減退しているためと考えられる。また、12月は、天候不良から導入素牛の体重の軽量化がみられ、導入素牛の約4分の1を占める600ポンド未満層は43万頭と前年を1.2%上回っているものの、残り大半の600ポンド以上層は111万6千頭と8.7%(10万6千頭)下回っている。
このように、導入頭数は、11月の8.5%減に続いて2カ月連続で前年同月を下回ることとなったことから、これらの牛が出荷される晩春から初夏にかけての肥育牛価格の上げ要因になることが期待される。
図3 体重別フィードロット導入頭数の推移
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