中東諸国における2008/09年度の小麦輸入量は前年度の2.4倍
近年、中東諸国での小麦の輸入量は、世界全体の輸入量の2割前後を占めるまでに急増している。米国農務省海外農業局(USDA/FAS:Grain:World
Markets and Trade)によると、同地域の2008/09年度(7月〜翌年6月)の小麦輸入量は、前年度の2.4倍の2,830万トン、また、2009/10年度は、前年度は下回るものの、一昨年の2007/08年度比で1.8倍の2,130万トンであり、世界全体における中東諸国の輸入増が指摘されている(表1)。
注) 中東諸国とは、バーレーン、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、クウェート、レバノン、
オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、トルコ、アラブ首長国連邦およびイエメン
表1 地域別小麦輸入量と輸入シェア
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輸入増の要因は干ばつ被害など
USDA/FASによると、小麦の輸入量が増加している主な要因については、特にイラン、イラク、シリアでの干ばつ被害が挙げられている。今年度のこれら地域の生産量については、幾分改善が見込まれているとしているが、平年並みの生産量は、依然期待できないとする見方がなされており、また、サウジアラビアでは、かんがいを利用した小麦生産を徐々に減らしていくとする決定が下されたことで、年間2〜3百万トンの生産減が輸入量拡大の背景にあるとしている。
米国の2009/10年度小麦輸出量は、ほぼ30年ぶりの低水準
中東諸国での輸入量が拡大する一方で、米国は、価格面での優位性がある国々との競合や、海上輸送面で地理的に離れていることもあり、これら地域への小麦輸出が伸びていない。こうした状況も反映し(図13)、2009/10年度の小麦輸出量については、ほぼ30年ぶりとなる低水準が見込まれている(図14)。
図13 中東諸国における小麦輸入量
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図14 米国の小麦輸出量
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