農林水産省「牛乳乳製品統計」によると、21年の牛乳生産量は、販売価格の値上げや景気の悪化による消費者の低価格志向に加え、需要期である7月〜9月の消費が天候不順により減少したことなどから、317万9千キロリットル(同9.4%減)と前年に比べかなりの程度の減少となった。
一方、4月以降前年同月比80%〜100%増で推移していた成分調整牛乳は、5月の40,048キロリットル(同101.5%増)と倍増したのをピークに伸びが鈍化したものの通年では421,097キロリットル(前年比74.1%増)となった(図5)。
このような状況の中で、(社)日本酪農乳業協会(Jミルク)は、先頃22年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しを発表した。これによると、牛乳生産量は292万1千キロリットル(前年度比5.7%減)と32年ぶりに300万キロリットルを下回るとしている。
一方、牛乳に比べて安価な加工乳・成分調整牛乳・乳飲料の生産量は202万2千キロリットル(同8.6%増)と増産が続くと予測している。
Jミルクでは、「酪農乳業関係者は、生産・消費動向の把握と需給情報の共有化、的確な需給調整対策の実施などに取り組むとともに、国産牛乳乳製品の価値を高めつつ、消費者および流通関係者などに対してその価値を訴求していかなくてはならない」としていることから、今後、牛乳を中心とする飲用等の生産の低下傾向に歯止めをかけ、生乳の需給の緩和がさらに拡大しないよう、より一層の需要回復に向けた取り組みが必要と考える。
図5 牛乳等生産量の推移
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