需給動向 海外 |
2009年10月までの域外輸出量は前年比で17%減少 |
最大の仕向け先国であるロシアへの豚肉輸出は一部が生体の輸出に代替されているもよう 欧州の調査機関GIRAによれば、EU産豚肉の2009年(1〜10月)の域外輸出量は前年比17%減の1,763千トンとなった。GIRAは、2008年上期は輸出補助金の措置により輸出が促進されたことに触れつつも、この2009年における減少の要因として、 ・ユーロ高の為替レートによるEU産豚肉の国際市場での競争力低下 ・ロシアをはじめとする主要な市場での需要減少・特に、日本、韓国市場における北米産豚肉との競争激化 ・経済危機による支払不履行のリスク増大に伴う要注意取引先との取引回避 を挙げている。このように、輸出業者が顧客からの支払いに係る保証なしに製品を販売するリスク避けることにより輸出量が減少するという現象は、豚肉の貿易以外にも一般的に観察されるものとされている。 図8は、EU産豚肉の輸出動向を相手国別に整理したものである。ロシア、中国(香港を含む。)、日本、ウクライナおよび韓国の上位5カ国で全体の3/4を占めている中、中国と香港を一体として考えれば、いずれの輸入国もEUからの輸入量が減少していることが読み取れる。EU産豚肉の最大の仕向け先であるロシアについても前年比で18%減少しているが、この減少の一部はEUからの生体の輸出によって補われているとみられ、GIRAは、バルト海沿岸の加盟国を中心に2009年では100万頭以上の生体がロシアへ輸出されているとみている。ロシアへの生体の輸出は、域内よりも価格面で相対的に有利であることやと畜の際に生じる副産物をロシア国内で有効活用できることなどの利点があることから活発に行われているところであるが、家畜運搬車両がEUロシア国境を頻繁に往来することにより、現在ロシアで発生しているアフリカ豚コレラのEU域内への伝播を懸念する声も聞かれる。
2009年10月までの域外輸出実績ではドイツがデンマークを上回ることに
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