需給動向 海外 |
米国豚飼養頭数は減少基調を維持 |
2009年の枝肉生産量は前年を1.5%下回る 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2010年1月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2009年12月の肉豚と畜頭数は、飼養頭数および生体豚輸入頭数の減少から983万3千頭と前年同月を3.1%下回った。2009年はほぼ一貫して前年同月を下回り1〜12月の暦年累計では1億1358万3千頭と前年を2.5%下回っている。
1頭当たりの枝肉重量は前年同月をやや上回って推移し、12月は202ポンド(91.6キログラム)と前年同月を0.5%下回ったが、暦年累計では前年を1.0%上回っている。枝肉重量の増加率よりと畜頭数の減少率が大きいことから、枝肉生産量は前年を下回って推移し、12月の枝肉生産量は90万トンと前年同月を3.3%下回り、暦年累計では1042万9千トンと前年を1.5%下回っている。
生産者の減産の取り組みは、昨年12月30日にNASSが公表した豚飼養動向調査「Quarterly Hogs and Pigs」から見てとれる。2009年12月1日現在の豚総飼養頭数は、繁殖豚頭数および肥育豚頭数の減少などにより前年比2.0%減の6580万7千頭となり5四半期連続で前年を下回っている。繁殖豚頭数は、国内最大手のスミスフィールド社のとう汰実施などから、2008年6月以降7四半期連続で前年を下回り、2009年12月1日現在では585万頭(前年同期比3.5%減)となっている。母豚分娩頭数も2008年4月以降ほぼ一貫して前年同月を下回って推移し、2009年1月〜11月の累計では1097万2千頭(前年同期比2.1%減)となっている。また、2009年12月〜2010年2月の母豚分娩見込み頭数は295万4千頭(同1.9%減)、2010年3月〜5月は同293万5千頭(同2.8%減)となっていることから、飼養頭数の減少傾向は当面続くものと考えられる。 一方、1腹当たりの産子数は衛生環境の改善などから近年増加傾向で推移しており、11月は9.68頭(前年同期比1.7%増)となっている。生産性の向上となる産子数の増加が、減産の局面においてはその効果を減じる要因となっている。
と畜頭数が減少すれば食肉処理施設の稼働率は低下することとなり、カナダにおける豚飼養頭数の縮小やカナダドル高により同国からの生体豚の輸入が減少する中、国内生産も減産基調にある米国養豚産業にとって、食肉処理施設の稼働率は新たな問題になると思われる。そのような中、2010年1月20日、スミスフィールド社は9工場のうち最も古く処理能力の低いアイオワ州スー・シティの工場を閉鎖することを発表した。閉鎖する理由として、50年の歴史を有する工場であるだけに老朽化と非効率的な設備となっていたことが挙げられている。閉鎖後は、同工場で受け入れていた肉豚は、100km〜200km圏内にある同社の3工場が受け入れることになる。生産者にとっても、距離の離れた工場への豚の輸送が必要となることから、輸送費の増加などの悪影響が予想される。 今後の価格動向 このような生産の減少基調を踏まえて、今年に入ってからも肥育豚価格は好調な状態を維持している。しかし、鶏肉輸出について、ロシア向け衛生条件のすり合わせにめどが立っていない上、中国向けについても、アンチダンピング措置により、2月13日以降米国産鶏肉に高関税が課されているため、これら両国への輸出が減少し、その分国内市場への供給が増加することが予測されている。鶏肉の国内出回り量のこのような増加が肥育豚価格にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目される。 |
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