2010年のセルロースベースのエタノール義務量は650万ガロンに大きく下方修正
米国環境保護庁(EPA)は2月3日、新たな再生可能燃料基準(RFS2)の最終規則を公表した。この規則は、2007年12月に成立した「エネルギー自立・安全保障法」(新エネルギー法)に基づきEPAが定めることとされており、法律成立後約2年を経て今回の発表となった。この最終規則は2010年7月1日から適用される。
従来は、ガソリンを対象に再生可能燃料(バイオ燃料)の使用義務が課されていたが、新エネルギー法では軽油も対象とされている。また、年間使用義務量は、総量が規定されているほか、セルロースベースのバイオ燃料、バイオディーゼル、先進バイオ燃料、トウモロコシベースのエタノールを中心とした従来型バイオ燃料といったカテゴリー別に定められている。
エネルギー自立・安全保障法における再生可能燃料使用義務量
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この使用義務量は、米国エネルギー情報庁(EIA)の情報などを参考に毎年11月に翌年の使用義務量を設定することとされており、2010年の義務量については今回の施行規則に併せて以下のとおり定められている。
2010年の再生可能燃料使用義務量
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なお、セルロースベースの使用量については現状の生産状況を踏まえ、新エネルギー法で定められた1億ガロンから650万ガロンに大きく下方修正されている。また、バイオディーゼルの義務量については2009年と2010年の2カ年で11億5千万ガロンを2010年末までに使用することとされている。
再生可能燃料による温室効果ガスの削減効果
RFS2規則では、再生可能燃料ごとに2005年を基準にガソリンや軽油と比較した温室効果ガスの削減基準(ライフサイクル温室効果ガス削減基準)が規定されており、使用される再生可能燃料はこの基準を満たさねばならないとされている。この削減基準は、燃料の生産段階などにおける温室効果ガス排出に加え、再生可能燃料用の作物生産に伴う国内および海外の土地利用の変化が考慮されたものとなっている。
再生可能燃料のライフサイクル温室効果ガス削減基準
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RFS2規則のトウモロコシベースのエタノール生産に与える影響
今回の規則制定によって、トウモロコシベースのエタノールについて新たに温室効果ガス20%の削減が要件として課されることになった。しかし、2007年12月19日以前に建設あるいは着工された工場は除外されることや、トウモロコシベースのエタノールは温室効果ガスの削減基準を満たすというEPAの試算があることから、EPAのリサ・ジャクソン長官も「この新たな規則は、トウモロコシベースのエタノール生産を妨げるものではない」とコメントしている。
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