需給動向 海外

◆豪 州◆

2010年の牛肉輸出量、2004年以降で最低となる見込み


◇絵でみる需給動向◇


2010年の牛肉輸出量は前年比6%減の見込み

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2010年(1〜12月)における牛肉輸出量(子牛肉を含む。船積重量ベース)は、前年比6%減の87万5千トンと減少し、2004年以降、最低となると見込まれている。この要因としては、牛肉生産量が同3.9%減と見込まれていること、豪ドル高で推移する為替相場、日本および韓国における米国産牛肉との競合などが挙げられている。

日・韓向けは減少、米国向けは増加へ

 国別に見ると、最大の輸出先である日本向けは、前年比7%減の33万トンとかなり減少すると見込まれている。これは、日本の景気後退による牛肉需要の低迷、米国産牛肉との競合、豪ドル高で推移する為替相場、消費者の低価格志向などによるものである。2番手の市場である米国向けは、同国における牛肉生産量の減少見込みなどから、同3%増の26万トンとやや増加すると見込まれている。米国向けは、回復基調にあるが、豪ドル高の為替相場や米国向け輸出の主体となる加工向け牛肉の供給量が少ないことが回復を限定的なものとしている。米国に次いで多い韓国向けは、同18%減の9万5千トンと大幅な減少が見込まれている。この要因としては、米国産牛肉との競合に加え、国内生産量が2009年に引き続き増加する見込みであることなどがある。4番手の市場であるインドネシア向けは、同10%増の5万7千トンと見込まれている。これは、同国経済が堅調であること、所得の上昇、人口の増加、国内の供給量の減少などが背景にある。なお、輸出量の減少が見込まれる中、豪州の国内消費は堅調に推移するとみられていることから、2010年の牛肉生産量に占める国内消費量の割合は、2009年の34.6%から36.1%に増加すると見込まれている。

表1 豪州の牛肉輸出量の推移

2010年の生体牛輸出頭数は過去最高か

 一方、2010年の生体牛輸出頭数は、前年比4%増の99万頭と、過去最高となる見込みである。これは、輸出頭数全体の約8割を占めるインドネシア向けが、同5%増の81万頭と過去最高が見込まれること、輸出市場における牛肉需要の低迷による生体牛の供給量の増加などが背景にある。インドネシア経済は2010年も引き続き好調と見込まれているが、同国向けの生体牛輸出については、豪州産やブラジルを中心とした南米産の牛肉との競合といったマイナス要因もあるとしている。

表2 豪州の生体牛輸出頭数の推移

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