需給動向 海外 |
米ドル安を背景に2010年の牛肉輸出量は増加の見込み |
2009年の牛肉輸出量は前年比1.0%減米国農務省(USDA)が3月11日に公表した「Livestock and Meat Trade Data」によると、2009年の米国の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年を1.0%下回る84万8千トンとなった。これは、米国におけるBSE発生の影響を受ける前の2003年の114万2千トンの74.2%に相当する。 2009年の推移を見ると、第1四半期、第2四半期は前年をそれぞれ6.7%、0.1%と上回ったが、第3四半期については、韓国の輸入再開により前年同期間に韓国向け米国産牛肉が大量に輸出されていたことなどから、前年同期比18.6%減と大幅に減少した。第4四半期については、米ドル安が続く中、ベトナムや香港などのアジア市場向けが順調に拡大したことなどにより、前年を15.6%上回る大きな伸びを示し、2010年の輸出に大きな期待を抱かせる展開で終わっている。 輸出先国別に見ると、BSE発生以降最大の輸出先となっているメキシコは前年を13.3%下回る25万5千トン、2位のカナダ向けは前年を6.9%下回る16万4千トンとなったが、3位の日本向けは前年を18.8%上回る12万5千トンとなった。また、4位のベトナムは前年を22.0%上回る6万7千トン、香港向けについては1万5千トンから3万7千トンと、前年から2.5倍拡大している。 2010年はアジア市場向けの拡大に期待USDAによると、2010年1月の輸出量は、昨年末の好調な状態を維持し、前年同月を19.4%上回る7万トンと上々の滑り出しとなっている。USDAは、2010年の牛肉輸出量を、前年を9%上回る92万5千トンと予測しているが、これは、最大の輸出先であるメキシコの人口増加や景気回復による需要増加、2大市場の1つであるカナダ向けの回復、ベトナム、香港などのアジア市場向けの拡大などが理由として挙げている。また、フィリピンやエジプト向けなども、2008年以降順調な伸びを示しており、輸出上位国以外の市場の動向も注目される。
2009年の輸入量は5年ぶりに前年を上回る2009年の輸入量は前年を3.5%上回る119万1千トンとなった。これは2005年以降5年ぶりの増加であり、牛のと畜頭数の減少や、生産量が縮小傾向にあるため輸入が増加したと考えられる。 輸入先国別に見ると、最大の輸入先となるカナダは前年を3.4%下回る36万8千トン、2位の豪州は同19.4%上回る35万9千トン、3位のニュージーランド(NZ)は同1.9%下回る23万5千トンとなった。 USDAは2010年の輸入量について、カナダの牛肉生産の増加により同国からの輸入が増えることなどから、前年を2.8%上回る122万5千トンと予測している。しかし、輸入上位を占める豪州とNZについては、両国の通貨に対して米ドルが弱含みであることや、気象条件に恵まれて牧草の状態が良好であるため、干ばつにより減少傾向にあった牛群再構築のために牛を保留する動きが見られており、と畜頭数が減少していることなどから、米国への輸出は減少が予想されている。直近3カ月(2009年11月〜2010年1月)の輸入量を見ると、豪州とNZは前年を大幅に下回っている。両国産のグラスフェッド牛肉は、米国のひき肉市場において一定のシェアを有している。このため、今後、両国産牛肉輸入の減少が、米国の牛肉価格にどのような影響を与えるのか、注目されるところである。
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