需給動向 海外

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2009年のブロイラー生産量は減少したが回復基調


◇絵でみる需給動向◇


12月の生産量はかなり増加、2009年の累計は前年をわずかに下回る

 タイ農業・協同組合省(MOAC)によると、2009年12月のブロイラー生産量は、前年同月比10.7%増の約8千万羽となった。2009年の年間の生産量は2008年12月以降2009年6月まで、前年を下回って推移していたため、前年比2.0%減の約8億8千1百万羽と高病原性鳥インフルエンザが発生した2004年以来の減少に転じた。ひなふ化羽数についても、ブロイラー生産量と同様に推移しており、12月のひなふ化羽数は前年同月比10.7%増の約8千4百万羽となった。

 12月の卸売価格(生体)は、前年同月比22.7%高のキログラム当たり40.5バーツ(約117円:1バーツ=2.9円)と、前年同月をかなり大きく上回った。卸売価格(生体)は、2007年3月以降前年を上回って推移していたが、世界的不況の影響による輸出市場の不調を受け、2008年10月には前年同月比で10.7%安となった。その後も下落傾向が続いたものの、2009年4月には上昇に転じ、6月に価格が前年同月を4.3%上回った後は7月および8月を除いて前年同月を上回る価格で推移した。この結果、2009年の平均価格はキログラム当たり37.3バーツ(約108円)と、前年を1.3%下回っているものの、2007年との比較では12.7%上回っている。

 12月の小売価格(中抜き)は、前年同月比8.9%高のキログラム当たり61.0バーツ(約177円)となった。

図5 ブロイラー生産量と卸売価格の推移
資料:生産量はタイ農業・協同組合省、卸売価格はタイ商務省

2009年の鶏肉調製品の輸出は前年をわずかに下回る

 12月の鶏肉調製品の輸出量は、前年同月比4.7%増の約3万2千トンとなった。主な輸出国別で見ると、日本向けは同15.4%減の約1万2千5百トンと大幅に減少したが、これは2008年12月の輸出量が同37.0%増の約1万4千7百トンだったことを反映しており、2007年同月比では15.9%増となっている。シェアは38.7%と4割を下回った。

 この日本向け輸出量の減少について、タイブロイラー加工輸出業者協会では、タイ国内において日本への輸出量を減少させるような要因は思い当たらず、中国産鶏肉調製品への不信感が緩和されてきたため、中国からの輸入が回復しているといった日本側の要因ではないかとコメントしている(表4参照)。

表4 日本の鶏肉調製品の国別輸入量の推移

 一方、12月のEU向け輸出量は約1万7千8百トンと、前年同月比26.8%増加し、シェアは55.2%となった。このうち、英国向けは同25.6%増の約1万2千2百トン、オランダ向けは同85.8%増の約2千7百トンとなった。

 2009年の年間の輸出量は約35万4千トンとなり、前年の実績約36万トンを1.6%下回った。国別で見ると、日本向けは同5.3%減の約15万4千トン、EU向けは同2.6%増の約17万8千トン、うち英国向けは同10.4%増の約11万8千トン、オランダ向けは同17.4%減の約2万8千トンとなった。国別シェアを見ると、日本向けは43.4%と、前年の45.1%から1.7ポイント減少した。EU向けは50.2%と、前年の48.1%から2.1ポイント増加し5割を上回った。EU向けの66.3%を占める英国は29.7%から33.3%と増加したが、同15.5%を占めるオランダは9.3%から7.8%へと減少した。

 また、日本とEU以外の新規市場として有望視されている国では、シンガポール向けが同5.8%減の約9千6百トン、韓国向けが同1.0%減の約5千6百トン、香港向けが同16.5%増の約3千9百トンとなっている。

 シンガポール以外の東南アジア諸国向けでは、ベトナムが同68.7%減の約6百トン、ミャンマーが同0.9%減の約3百トンと減少しているが、一定のシェアは確保している。

 2007年に輸出が再開されたアラブ首長国連邦には101トンが輸出されたが、2008年に輸出が再開されたサウジアラビアには輸出実績はなかった。一方、2008年には輸出実績がなかったロシア連邦に、12トン輸出された。

 また、12月の平均輸出価格は、前年同月比16.0%安のトン当たり131,292バーツ(約38万1千円)となった。平均輸出価格は、2008年11月に同34.2%高のトン当たり158,706バーツ(約46万円)となった後低下傾向で推移し、2009年6月には同2.2%安のトン当たり128,332バーツ(約37万2千円)まで下げた。その後7月に一旦上昇に転じたものの、8月以降はそれをわずかに下回って推移し、12月には再び上昇に転じた。

表5 鶏肉調製品国別輸出量(2009年)

2010年の生産量はわずかに増加、輸出量はかなり増加との予測

 MOAC農業経済局は、2010年の鶏肉生産量について、人口増加および輸出拡大に応じて、前年と比べ1%程度増加すると予測している。また、輸出量については、主要市場であるEU市場は関税割当のためわずかな増加にとどまると見込むものの、鶏肉調製品に係る日タイ経済連携協定(JTEPA)の関税率削減効果(2010年1〜3月は4.5%、4〜12月は4.0%)や中東向け輸出の増加により、全体では前年比9%程度の増加を見込んでいる。



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