全国農業協同組合連合会(全農)は平成22年3月19日、同年4〜6月期の配合飼料供給価格について、前期(1〜3月)に対し、全国全畜種総平均トン当たり約1,000円値下げすると発表した。これは、トウモロコシ価格と大豆かす価格が安定し、為替も円高基調で推移しているためであり、3期連続しての値下げとなった。
また、商系各社、専門農協も配合飼料価格を値下げすると発表しており、値下げ幅は前期比で約500円〜720円となっている。
全農によると、値下げの要因および最近の飼料情勢として、①トウモロコシのシカゴ定期は、収穫時期が大幅に遅れ早霜による生産量の減少懸念が高まったこと、商品市場に投機資金が流入したことから、一時ブッシェル当たり420セントを超える水準まで上昇したが、平成22年1月12日の米国農務省発表の需給見通しにおいて史上最高の豊作見通しとなったことを受けて下落し、現在は同370セント前後で推移している(図6)。今後は、南米産トウモロコシが豊作の見通しであることと、今春の米国産トウモロコシの作付面積も拡大するとの見方がある一方、依然としてエタノール需要が堅調であるため、相場は底固く推移するものと見込まれる、②大豆かすのシカゴ定期は、昨年11月末にはトン当たり350ドル前後で推移していたが、12月に入り南米産大豆が良好な天候が続き大豊作の見通しとなったことから下落し、現在は同300ドル前後で推移している、③海上運賃は、昨年10月下旬にはトン当たり65ドル前後で推移していたが、年末年始にかけて中国向けの鉄鋼原料輸送、アジア向け穀物の荷動きが活発になったことを受け上昇した(図7)。その後旧正月に入り中国の船腹需要が減少したことから下落したものの、旧正月が明けて再び中国向けの鉄鋼原料輸送需要が増加していることや、南米からのトウモロコシや大豆のアジア向け輸出により船腹需要が高まっていることから、現在は同75ドル前後で推移しており、今後も底堅く推移するものと見込まれる、④為替は、円高基調で推移する中、11月下旬にはアラブ首長国連邦ドバイ首長国の信用不安からドルが急速に売られ、90円を大きく下回る円高となった。その後、米国の景気回復期待感の高まりから一時94円近辺まで円安ドル高が進んだが、米国金融機関に対する金融規制が課せられるとの観測からドルが下落し、現在は90円前後で推移している−などを挙げている。
図6 トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期
相場
|
|
資料:日本経済新聞
|
図7 海上運賃の推移(ガルフ〜日本)
|
|
資料:農林水産省生産局畜産部畜産振興課
|
|