需給動向 海外

◆飼 料◆

インド:植物油の輸入が急増し、大豆圧搾量は急減


◇絵でみる需給動向◇


食料インフレを抑えるため、植物油にゼロ関税

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS:Oilseeds:World Markets and Trade)によると、インドでは、モンスーン期の少雨により、2009/10年度(10月から翌年9月)の農産物生産量が減少したことなどから食料品価格は上昇し、2月末には前年を18%上回る状況となり、可処分所得の約4割が食料品の購入に支払われているとしている。

 インド政府は、食料品価格の上昇を抑えるため、食料品の輸入を増加させる政策の一環として、大豆油などの植物油には、2009年から輸入税を撤廃しゼロ関税が適用されている。このことで、植物油の輸入は急増しており、その一方で国内の大豆圧搾量は急減している。

 インドの2009/10年度の植物油消費量は、前年度を10%上回る16百20万トンが見込まれているが、一人当たりの植物油消費量(FAOSTAT:2005年は11.03キログラム/年)は、日本(同14.19キログラム/年)などと比べて低い。

植物油の輸入急増により国内の圧搾ペースは鈍化

 植物油の圧搾業は、従来、確実な利益が見込めたが、国内の原料価格が堅調に推移している中、ゼロ関税による植物油の輸入急増は、国内の圧搾業者の経営を圧迫させており、このため圧搾ペースは鈍化しているとしている。

 大豆かすの輸出量は、生産量の減少に加え、主要な輸出先であるアジア・マーケットで、米国、中国の輸出国と、また、生産期は逆転するが、アルゼンチン、ブラジルなどの輸出国と競合関係にあることから、2009/10年度は前年度を下回り、直近5年度間で最低水準となる253万トンが見込まれている。

2009/10年度の大豆の期末在庫は前年度の3.8倍

 日本の大豆かす輸入は、従来、大豆かすの主要輸出国であるインドを最大の輸入先としているが、USDA/FASによると、インドの大豆圧搾量の減少が現在のペースで進むならば、大豆かすの輸出量は、さらなる減少が見込まれるとしている。

 また、植物油の輸入業者は、大豆圧搾ペースの鈍化に加え、現在の植物油の輸入価格が魅力的な価格となっているため来年度に向けた植物油在庫を積み増しているとされる。このため、2009/10年度の大豆期末在庫見通しは、前年度の3.8倍となる128万1千トンとされるが、それをさらに上回る数量になるのではないかとUSDA/FASは指摘している。


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