需給動向 海外

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2009年末より低下基調で推移していたバターおよび脱脂粉乳の卸売価格が再び上昇


◇絵でみる需給動向◇


生乳供給量の伸び悩みが域内乳製品市場に影響

 2009年末より低下基調で推移していたバターおよび脱脂粉乳の卸売価格が再び上昇に転じている。図9、10はそれぞれバターおよび脱脂粉乳の卸売価格の推移を示したものであるが、3月に入りいずれも上昇に転じていることが読み取れる。2010年当初においては、生乳の増産期にあたる春先は、乳製品市況にマイナスの影響が及ぶのではないかと懸念されていた。しかし、実際には生乳供給量が前年比で伸び悩み、乳製品需給がやや引き締まっている状況をもたらしているもようである。

図9 バターの卸売価格の推移
資料:農畜産業振興機構調べ
注:オランダのバター卸売価格を指標とした。
図10 脱脂粉乳の卸売価格の推移
資料:農畜産業振興機構調べ
注:ドイツの脱脂粉乳卸売価格(食用)を指標とした。

月別生乳供給量は前年を下回る水準で推移

 図11は、EU27における月別生乳供給量の推移を示したものであるが、2009年9月より前年同月比で1〜2%減の水準が続いていることが分かる。これは2009年12月時点の搾乳牛頭数が、データの確認可能な24加盟国全体で前年比2.5%減となっていることに加え(図12)、この冬の厳しい気象条件が拍車をかけたもようである。特に2010年2月は、度重なる積雪により欧州北部の交通網がまひ状態となり、集乳にも支障が出たと言われている。このようなことから、2009/10クオータ年度注においては、EU全体の実際の生乳生産量はクオータを6%程度下回ると予測されている。域内関係者によると、この冬の厳しい寒さの影響で牧草の生育が遅れているとの情報もあり、飼料生産への影響が懸念されている。

注:2009年4月から2010年3月までの12カ月間。

図11 EU27における月別生乳供給量の推移
資料:ZMB
注:各月の日数を365/12に補正。なお、2009年11月以降の値は暫定値
図12 2009年12月時点における搾乳牛頭数の変化率(前年比)
資料:欧州委員会


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