フィードロット導入頭数は減少するも、フィードロット飼養頭数は前年を上回る
米国農務省(USDA)によると、2010年7月のフィードロット(収容能力1,000頭以上規模)への導入頭数は、今年3月以降4カ月連続で前年を上回る水準で導入を増やした反動などから、前年同月比5.9%減となる175万頭となった。しかし、7月の出荷頭数は、前年同月比1.7%減の190万頭にとどまった結果、8月のフィードロット飼養頭数は、前年同月比2.4%増の987万頭となった。図1に過去の水準と2010年のフィードロット飼養頭数の比較を示しているが、2010年6〜8月は2006〜2008年の平均を下回ったものの、前年水準を上回っていることが分かる。しかし、前年6〜8月が例年と比べ急速に落ち込んだ時期であったことや、2010年7月1日時点のフィードロット外の牛飼養頭数が前年同月比2.6%減となっていることなどを考慮すると、フィードロット飼養頭数は、9月以降も前年を上回り続けることは難しいと考えられる。
図1 フィードロット飼養頭数の推移 |
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資料:USDA/NASS「Cattle on Feed」
注:フィードロットは収容能力1,000頭以上規模、各月1日時点の飼養頭数 |
枝肉重量は前年を下回る水準で推移
USDAによると、7月のと畜頭数は、フィードロットからの出荷頭数が減少したことなどにより、前年同月比0.7%減の190万頭となった。これに加え、7月の1頭当たりの枝肉重量が、猛暑などの影響により前年同月比1.2%減の350キログラムとなったことから、7月の牛肉生産量は前年同月比1.8%減の101万トンとなった。今年の10〜12月の牛肉生産については、5、6月のフィードロットへの導入頭数が前年同月比をそれぞれ23.4%、17.0%上回っていることから、出荷頭数は増加することが予想されるが、現在の枝肉重量の水準が継続するようであれば、牛肉生産の大幅な増加は見込めない。なお、USDAは、10〜12月の生産量を前年同期比2.9%減の2830万トンと予測している。
図2 1頭当たりの牛枝肉重量の推移 |
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資料:USDA「Livestock, Dairy and Poultry Outlook」 |
穀物飼料価格の上昇による肥育コスト増を懸念
牛肉の供給減などにより、今年初めから肥育牛価格は増加基調にある。8月の肥育牛価格は前年を17.0%上回る100ポンド当たり96.5ドル(キログラム当たり約181円:1ドル=85円)、8月の肥育素牛価格も前年同月比11.8%高の同116.5ドル(同約218円)となっている。
しかし、牛肉の小売価格が過去最高水準に近づいていることに加えて、8月の失業率が0.1ポイント悪化し9.6%になるなど景気回復が遅れている米国の経済状況や、鶏肉など安価なタンパク源との競合を考えれば、年末までに肥育牛価格が現在の水準を大きく上回ることは考えにくい。このような中、トウモロコシや大豆価格の上昇が予測されており、肥育経営コストの増加が見込まれるが、同経営が肥育牛価格にコスト増を転嫁できないとなれば、肥育素牛価格の下げ圧力が高まることになり、繁殖農家の牛群拡大のインセンティブを減じる可能性が懸念される。
図3 牛肉小売価格、肥育牛、肥育素牛価格の推移 |
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資料:USDA「Livestock ,Dairy and Poultry Outlook」
注1:牛肉小売価格は、チョイス級、600〜900ポンドのカットアウトバリュー。
2:肥育素牛価格はミディアム、600〜699ポンド、オクラホマシティ市場。
3:肥育牛価格はチョイス級、1100〜1300ポンド、ネブラスカ。 |
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