需給動向 海外 |
減少局面の米国の牛総飼養頭数、前年比1.2%減 |
米国の総飼養頭数は最低記録を更新、更新用肉用雌牛は前年比2.2%減米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が7月23日に公表した牛の飼養動向調査「Cattle」によると、2010年7月1日現在における牛の総飼養頭数は、前年を1.2%(120万頭)下回る1億80万頭となった。これは、同調査においてデータが確認できる1973年以降の最小値となる。 米国のキャトルサイクルは、2006年をピークに飼料コストの高騰や干ばつの影響から減少局面に入り、その後は世界的な景気低迷に伴う需要の停滞から、この4年間で飼養頭数は440万頭減少した。 飼養頭数を部門別に見ると、肉用繁殖雌牛は3170万頭と前年を1.6%(50万頭)下回り、500ポンド(227キログラム)以上の更新用肉用雌牛(未経産牛)も前年を2.2%下回る440万頭となった。肉用牛繁殖農家は牛群再構築のために雌牛を保留するより、牛群とう汰を続けているとみられ、肉用繁殖雌牛のと畜頭数は、牧草の生育状態が良好であるにもかかわらず、昨年末より高水準で推移している。これは、加工用向け牛肉の主要供給国である豪州からの供給が大幅に減少し、ひき肉用牛肉の需給がひっ迫していることによる廃用雌牛価格の高騰が要因の1つとして挙げられる。
なお、2010年1〜6月の子牛生産頭数は、前年同期比1.1%減の2570万頭、年間では前年比1.2%減の3540万頭と予測され、飼養頭数の減少は当面続くと予想される。 飼養頭数減少により、肉牛価格は前年比高同局が同日公表したフィードロット(収容能力1,000頭以上規模)の牛飼養動向調査結果「Cattle on Feed」によると、6月のフィードロットへの導入頭数は、2009年の導入頭数が少なかったことなどから前年を17.0%と大幅に上回る163万頭、同月の出荷頭数は前年を0.4%上回る200万頭となった。この結果、7月1日現在のフィードロット飼養頭数は、前年比3.3%増の1007万頭となり、2カ月連続で前年を上回った。過去5年平均で見ると、導入頭数は平年並に戻っている。また、7月1日現在の子牛飼養頭数は前年を1.4%下回り、2010年上期の子牛生産頭数も前年同期を1.1%下回っていることなどから、フィードロットの飼養規模は今後縮小するものと考えられる。
USDA経済調査局(USDA/ERS)によると、飼養頭数が減少する中、本年第2四半期の肥育牛価格(チョイス級、1,100〜1,300ポンド、ネブラスカ)は前年同期を14.0%上回っており、第3四半期は同10.8%〜15.6%高、第4四半期には同10.5%〜17.7%高になると予想している。また、肥育素牛価格(ミディアム、600〜650ポンド、オクラホマシティー市場)も第2四半期は前年同期を14.2%上回り、第3四半期は同7.6〜11.7%高、第4四半期は同12.1〜18.5%高になると予想している。 景気低迷による収入減の後の価格上昇のために、個々の生産者は牛群を再構築するより売却による収入を得るとのインセンティブが働いており、「Cattle」の調査結果を見ると減少局面にあるキャトルサイクルが底を打つ様相はまだみられない。肉用牛繁殖農家がいつ牛群再構築に向かうのか、今後の動向が注目される。 |
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