需給動向 国内

◆飼 料◆

22年7月のトウモロコシの国際価格、前月比10.8%高の393米セントとなるものの、7カ月連続で400セント台を下回る


◇絵でみる需給動向◇


 配合飼料の成分構成の約5割を占めるトウモロコシの国際価格(シカゴ定期相場)は、平成20年上半期の高騰から一転して下落し、ブッシェル当たり300米セント後半から400米セント前後で推移していた。これは、米国の主産地における好天に伴う豊作見込み、欧州の金融不安による投機資金の流出、穀物需要の減退懸念などを反映したものであった。

 本年7月の同価格は前月比10.8%高となる同393米セントとかなりの程度上昇したものの、7カ月連続して400米セント台を下回った(図7)。価格上昇の要因としては、ロシアにおいて、大規模な干ばつの発生に伴い小麦生産量が大幅に減少し、同国からの小麦を含めた穀物輸出規制の可能性が想定されたことなどを受け、シカゴ小麦定期相場が急騰し、この動きに連動するかのようにトウモロコシ価格も上昇したためと考えられている。実際、ロシア政府は8月5日、生産減に伴う国内価格の上昇を防ぐための措置として、穀物輸出を一時禁止(8月15日〜12月末)すると発表した。その後、シカゴ小麦定期相場は急騰し、一時は同800セントに迫ったが8月11日現在で同700セントを割る水準となっている。このように、穀物相場への影響が懸念されているが、世界におけるロシアの小麦輸出シェアは約1割であり、世界的な小麦の在庫量は不足していないとの声もある。

 その一方で、2007〜2008年における穀物相場大暴騰のきっかけとなったのは豪州の小麦減産と言われており、今回のロシアの輸出禁止が暴騰の引き金となる恐れも指摘されているため、今後の動向が注目されている。

 なお、飼料の輸入価格に影響を及ぼす要因の一つである海上運賃(米国ガルフ〜日本間)については、中国の石炭・鉄鉱石に対する船腹需要が減退したことなどにより、7月は前月比20.9%安となるトン当たり51.0ドルとなった(図8)。これに加え、依然として円高傾向で推移する為替状況は、苦しい経営が続くわが国の畜産農家にとっては朗報である。

図7 トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期相場
資料:日本経済新聞
図8 海上運賃の推移(ガルフ〜日本)
資料:社団法人配合飼料供給安定機構調べ

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