需給動向 海外

◆豪 州◆

2009/10年度の生乳生産は過去14年間で最低の水準


◇絵でみる需給動向◇


生乳生産量は主要生産地の減産により減少

 デイリー・オーストラリア(DA)の最新の公表資料によると、2009/10年度(7〜6月)の生乳生産量は、前年度比3.9%減の902万キロリットルと、1996/97年度以降、最低の水準となった。この要因としてDAは、2009年の生産者乳価が、国際乳製品価格の下落を反映し、安価に推移したこと、主要生産地での乳牛淘汰および購入飼料の利用を控えたことなどを挙げている。

 州別にみると、飲用向けの生産割合が比較的高いニューサウスウェールズ(NSW)州では前年度比1%増の107万キロリットル、クイーンズランド(QLD)州では同3.4%増の53万キロリットル、西オーストラリア(WA)州では同2.9%増の35万キロリットルと、それぞれ前年度を上回った。一方、主に加工用原料乳生産を担っているビクトリア(VIC)州では同5.6%減の579万キロリットル、タスマニア(TAS)州では同5%減の67万キロリットルと、それぞれかなりの減産となった。また、南オーストラリア(SA)州では同3.6%減の61万キロリットルとやや減少した。

図12 生乳生産量の推移
資料:ABARE、DA
注1:年度は7〜6月
  2:2009/10年度は速報値

平均現金所得は生乳減産から大幅に減

 ABAREが公表した地域別の酪農家経営状況調査結果によると、2009/10年度の酪農家1戸当たりの平均現金所得(現金収入−現金支出)は、豪州全体では51,000豪ドル(388万円:1豪ドル=76円)と、前年度より減少するものの黒字が見込まれるのに対し、加工用原料乳生産地である北部ビクトリアおよびリベリナ地域(VIC州とNSW州の州境)は、27,300豪ドル(207万円)の赤字に転じるとみられている。また、2009/10年度の農家収益(現金所得+流動資産の評価額の変化−減価償却費−家族労働費)は、豪州全体では前年度の6,700豪ドル(51万円)の黒字から一転して、44,000豪ドル(334万円)の赤字になり、北部ビクトリアおよびリベリナ地域については、109,800豪ドル(834万円)と赤字幅が拡大すると予測している。

 北部ビクトリアおよびリベリナ地域については、前年度の農家収益が赤字であったこと、および国際市況が先行き不透明であることから、借入金の削減に努め支出を抑えたにも関わらず、現金所得は大幅な赤字が見込まれている。この要因としては、①乳価の低調な推移予測による、乳牛飼養頭数の削減②購入飼料の利用を控えたことによる1頭当たりの泌乳量の低下③減産に伴う受取乳代の減少などが挙げられる。

表5 「豪州全体」および「北部ビクトリアおよびリベリナ地域」における酪農家の経営状況
資料:ABARE
注1:抽出酪農家の経営規模を考慮し、加重平均して算出
  2:④=③+流動資産の評価額の変化−減価償却費−家族労働費

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