需給動向 海外

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2010年における豚肉生産量は前年比1%増の見通し


◇絵でみる需給動向◇


2004年に加盟した新規加盟国10カ国では全体として回復基調に転じたもよう

 2010年上期の実績を踏まえた調査会社GIRAの最新の予測によると、2010年におけるEU27の豚肉生産量は前年比1.0%増と見込まれることが明らかとなった。2010年上期では生産量はほぼ前年並みであったが、2010年下期には生産量の増加が見込まれるためである。2009年においては2004年以降に加盟した新規加盟国を中心に、飼料原料価格の高騰や経済危機に伴う豚肉需要の低迷により養豚経営が大きな打撃を受けたところであるが、2010年においては、2004年に加盟した新規加盟10カ国(以下「NMS-10」という。)では、2010年の豚肉生産量が前年比1.4%増と増加に転ずると見込まれている。一方、2007年に加盟したブルガリアおよびルーマニア(以下「NMS-2」という。)では未だに下げ止まっていないとみられ、2010年の豚肉生産量は前年比7.4%減と見込まれている(図4)。

図4 EUにおける豚肉生産量の変化率
資料:GIRA

 主要豚肉生産国の動向について紹介すると、デンマークおよびオランダにおいては、豚肉生産量が前年比で6〜7%増とかなりの程度増加すると見込まれているが、両国とも国外への生体輸出が顕著であることから、両国内の食肉処理施設で生産される豚肉の増加はより緩やかなものになると併記されている。一方で、両国の生体の主要輸出先であるドイツについては、前年比0.7%増と微増にとどまるとみられている。また、主要豚肉生産国の中で2009年に最も豚肉生産量の減少が著しかった(08年比11.3%減)ポーランドでは、2010年上期に前年同期比で3%減となるものの、下期で11%増と回復が予期されていることから、2010年全体としては前年比3.4%増が見込まれている。なお、フランスとスペインでは年間を通じて豚肉生産量が減少するとみられており、前年比でそれぞれ1.3%減、1.4%減が見込まれている。

2010年下期の豚枝肉卸売価格は第4四半期に前年を4%程度上回るとの予測

 またGIRAは、
・EU27における豚肉生産量は前年比で1%増加
・EU27における豚肉消費量は前年と同水準を想定
・域外第三国への豚肉輸出量は基本的には前年比5〜10%減が想定されるものの、ユーロの為替レートが輸出に有利に働くことを加味
という前提に立ち、2010年下期の豚枝肉卸売価格の動向を予測している。これによれば、豚肉の需給はほぼ均衡するという前提の中、通常第4四半期に観察される価格の低下が輸出による追い風で緩やかとなると期待されることから、2010年第4四半期では前年同期比で3.9%高の100キログラム当たり138.3ユーロ(約15,628円:1ユーロ=113円)となると予測している。なお、欧州委員会が発表した2010年7月の豚枝肉卸売価格は同149.05ユーロ(約16,843円)と前月比で1.1%安となったところであるが、GIRAの価格予測に対し、2010年下期の同価格がどのように推移するか、今後の動向が注目される。(図5)

図5 EUにおける豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会、GIRA

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