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本年初めての乳用牛とう汰事業の申請結果を公表


 米国の生乳生産者団体である全国生乳生産者連盟(NMPF)は7月7日、本年初となる酪農協共同基金(Cooperative Working Together:CWT)を通じた乳用牛とう汰事業の申請結果を発表した。

  なお、CWTは2003年7月に酪農家の出資により設立された基金であり、生乳出荷量100ポンド当たり10セントの生産者積立金を原資として乳用牛のとう汰や輸出乳製品への補助が行われている。また、乳用牛とう汰事業は今回で通算10回目の実施となる。

  米国の生乳生産は、2009年は、CWTにより過去最高となる乳用牛とう汰を実施したことなどから2009年は0.4%の減少となったが、昨年末からの好調な乳価などを反映し、本年3月から生乳生産は増加に転じている。幸いにも、乳価は現時点では比較的堅調に推移していることから、需給緩和が深刻化する前に生産の絞り込みを図ろうということが、今回のCWTの狙いであった。

約34,000頭の搾乳牛が対象

  今回の事業は5月28日から6月25日までの間参加申請の受け付けが行われたところであり、34,422頭の搾乳牛、生乳換算で653,893,409ポンド(29万7千トン)に達する194戸の酪農家からの申請が審査対象となることが決定された。発表に当たってNMPFのコザック会長は、「昨年の3回のCWTの実施により搾乳牛の削減に成功したところであるが、搾乳牛頭数は年末から横ばいの状態となっていた。今回の実施が搾乳牛の削減につながることを期待する」とコメントしている。申請が受理された農家に対しては7月30日までに農場審査が行われ、その後、搾乳牛は順次とう汰される予定となっている。

  なお、CWTによる乳用牛と畜頭数の増加は牛肉相場の下げ要素となるが、今回のCWTによる搾乳牛頭数についてUSDAは、「酪農家が通常行っている搾乳牛更新の範囲内」としており、現時点では肉牛相場への影響は限定的と考えられる。

酪農協共同基金(CWT)による牛群とう汰事業の実績
資料:酪農共同基金  注:補償単価は乳量100ポンド当たりの単価。

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