需給動向 海外 |
2年連続で増加する中国のトウモロコシ輸入
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14年ぶりに100万トン台に乗るトウモロコシ輸入中国は、大豆については、世界全体の輸入量の6割近くを占め、トウモロコシについては、食糧政策上、コメ、小麦と同様に自給する立場を取っているが、2009/10年度、2010/11年度のトウモロコシ輸入量は、それぞれ129万6千トン、100万トンが見込まれ、2年連続で1995/96年度以来14年ぶりとなる100万トン規模の輸入が行われている(図13)。
中国のトウモロコシ生産量、消費量は、世界全体では、米国に次ぐ世界第二位の規模で、ともに世界全体の約2割を占めている。米国農務省(USDA)によると、中国の好調な経済成長を背景に、国際市場では中国のトウモロコシ輸入量の急増は一過性ではなく、将来にわたり増加していくのではないかとする不透明感があり、このことがトウモロコシの国際需給をさらに不確実なものにし、トウモロコシ価格のボラティリティー(振れ)を強める要因の一つになっていると指摘している。 USDA、今後の中国のトウモロコシ輸入量を拡大と見通すUSDAは毎年2月(本年は2月14日)、今後10年間の食料需給予測(USDA Agricultural Projections to 2020)を公表している。これによると、2020年に向けた中国のトウモロコシ輸入量は徐々にではあるが着実に拡大するとの見方が示され、2020/21年度の純輸入量(輸入量−輸出量)は790万トンと見通している。前年度の同報告(USDA Agricultural Projections to 2019)では、見通し最終年度の純輸入量を390万トンとしていたことから、今後の中国の輸入量については、拡大基調にあるとの見方であることがうかがえる。 この背景として、畜産業およびでん粉、異性化糖などの産業向け需要の拡大が挙げられており、2020/21年度に向かい世界全体で増加する輸入量の3分の1は中国向けであるとの見方が示されている(図14)。
アメリカ穀物協会、中国のトウモロコシ在庫は減少と指摘アメリカ穀物協会(2月3日付)によると、中国のトウモロコシ輸入の急増は、同国のトウモロコシ期末在庫が1,000万トンから1,500万トン不足することによるものとしており、在庫率は、目標とする30%程度を大きく下回り、5%をわずかに上回る状況にあるとの見方が示されている。このため、300〜900万トンの輸入が、今後行われるかもしれないと結論付けている。 トウモロコシの貿易量を見ると、上位6カ国・地域で世界全体の輸入量の半分以上が占められていることから(図15)、中国のトウモロコシ輸入量の増加は、畜産飼料を主体に世界最大のトウモロコシ輸入国である我が国をはじめ、世界全体の需給へのインパクトは小さくないものと考えられる。
DDGSの輸入も急増また、飼料原料として、DDGS(エタノール蒸留かす:トウモロコシからエタノール生産後の蒸留残さ)の輸入量も急増しており、2010年は前年の約5倍を上回ることが示されている(図16)。
なお、アメリカ穀物協会によると、DDGSについては、米国は中国からアンチダンピングとしてWTOに提訴されているため、今後の中国への輸出ペースは鈍化するのではないかとの見方が示されている。 |
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