需給動向 海外

◆豪 州◆

2010/11年度以降、豪州の生乳生産量は増加傾向で推移する見込み


◇絵でみる需給動向◇


2010/11年度の生乳生産量は前年比1%増と見込まれ、洪水の影響は限定的

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2011年3月、今後5年間にわたる農産物需給予測を発表した。2010/11年度(7〜6月)における生乳生産量について、一部の酪農地域では、2011年初めの洪水の影響を受けたものの、全国的な影響は最小限にとどまり、前年度比1%増の911万キロリットルと見込まれている。2011/12年度は、主要酪農地域におけるかんがい用水の利用が改善し、前年度比2.1%増の930万キロリットルと見込まれている。中期的にも、生乳生産量は徐々に増加し、2014/15年度には975万キロリットルに達するものと見込まれる。

図12 生乳生産量と生産者乳価の推移
資料:ABARES
  注:2010/11年度以降は予測値

中期的に乳製品の輸出額は減少傾向の見込み

 2010/11年度の乳製品輸出額は、国際乳製品価格の上昇により、前年度比5.4%増の22億豪ドル(約1870億円:1豪ドル=85円)と見込まれるが、豪ドル高により輸出業者の利益は、いく分相殺されると見込まれる。中期的な見通しとして、乳製品生産は、主力のチーズが増加するとともに、堅調な輸出需要を反映し、全脂粉乳も増加すると見込まれる。しかし、輸出額は、国際乳製品価格が低調に推移するとみられ、減少傾向が見込まれる。こうした影響で、生産者乳価も中期的には、低下傾向で推移すると予測される。

少なくとも今後2〜3年は、かんがい用水の割当量は増加する見込み

 2009/2010年度までの10年間で、ビクトリア州北部やニューサウスウェールズ州南部では、かんがい用水の割当量が減少したことから、搾乳牛飼養頭数の減少などを強いられてきたものの、少なくとも今後2〜3年の割当量は、例年をかなり上回るものと見込まれる。これは、2010年末から2011年初めにかけての大雨により、主なかんがい用ダムの貯水量が増加し、また、今後も良好な天候が見込まれることによる。このため、これらかんがい農業地域の酪農家は、購入飼料への依存度が低くなると見込まれるが、中長期的に見て、天候条件が豪州酪農に影響を及ぼす主要な要因であることには変わりはないとみられる。

表3 乳製品の生産量、輸出量、輸出額の見通し
(単位:千トン、百万豪ドル)
資料:ABARES
  注:2010/11年度以降は、予測値

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