需給動向 海外 |
2010年の豚肉生産量、前年比2.0%増の2259万トン |
2010年は飼養頭数の増加に伴い生産量も増加、2011年も微増と予測欧州の調査会社GIRAによると、2010年のEUの養豚経営は、経済危機に伴うEU域内外の豚肉需要低迷などの影響により打撃を受け母豚頭数は減少したものの、1頭当たりの年間出生頭数の増加など生産性が向上したことに伴い、総飼養頭数は微増となった。この結果、豚肉生産量(枝肉重量ベース)は前年比2.0%増の2,259万トンと増加した。 2011年においては、北部主要国で前年比0.6%増と増加傾向が継続する見込みであり、加盟国別では、デンマークから毎年数百万頭規模の子豚を導入しているドイツが同1.8%増、ドイツから肥育豚のと畜を受け入れているポーランドが同1.0%増、ポンド安を背景とした輸出増により豚肉産業が好調な英国が同3.4%増となっている。この結果、EU全体の豚肉生産量は前年比0.3%増となる2,265万トンと見込まれている。 一方、子豚輸出が増加し自国内でのと畜が減少しているデンマークが同1.4%減となるほか、ベルギーが同1.6%減、フランスが同1.2%減と、各国を取り巻く経済状態の相違などにより、主要生産国間で異なる状況が見込まれている。(表2)
ダイオキシン混入問題により下落した豚枝肉卸売価格は回復既報(「畜産の情報3月号」)のとおり、EU27における豚枝肉卸売価格は、ドイツにおいてダイオキシンが混入された汚染飼料が流通し、養豚農家などで使用されていた問題が発覚した影響などにより下落していたが、2月には、前月比6.5%高となる100キログラム当たり144.04ユーロ(約16,421円。1ユーロ=114円)と回復に転じた。(図4)
この上昇は、風評被害が鎮静化したこと、欧州委員会の民間在庫補助により市場から一定期間豚肉が隔離されたこと、また、4番目の輸出先である韓国において、口蹄疫発生に伴う緊急措置として凍豚肉11万トンの無税枠が拡大したことによる域外需要の活性化、消費者の風評被害による豚肉不買傾向が鎮静化したことなどから、ドイツおよびオランダで高騰したことが大きい。 なお、2月から開始された民間在庫補助は、豚肉価格の上昇に伴い同月22日をもって停止されたが、ドイツ(約4万1千トン)、スペイン(約2万8千トン)、オランダ(約1万4千トン)などEU全体で14万トン強の在庫が市場から隔離された。同補助は豚肉価格の上昇に一定の効果を上げたが、隔離された在庫は3〜5カ月後には市場に出回ることになるため、価格上昇効果がどの程度持続するかは不透明な状況となっている。夏場の需要期を控え豚肉相場がどのように展開していくのか、今後の動向が注目される。 |
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