需給動向 海外 |
国内価格は引き続き堅調に推移、輸出はロシアの禁輸措置が懸念 |
平均と畜重量の減少ブラジル地理統計院(IBGE)によれば、2011年第1四半期の牛肉生産に関し、肉用牛のと畜頭数は709万6515頭で前期比1.4%減、前年同期比0.2%増、牛肉生産量は164万46トンで前期比2.6%減、前年同期比3.1%減であることが分かった。 2010年第3四半期の干ばつの影響からその後の牧草生育が良くないため、2011年第1四半期にも肥育牛の増体率は影響を受けた。多くの生産地では予定のと畜重量を割り込んでおり、不足分を確保するため繁殖高齢牛を積極的にと畜に回し供給量を確保してきた。2011年第1四半期のと畜に占める繁殖雌牛の割合は36.5%となり、前年同期より4.0ポイント増加している。特に、主生産地のマットグロッソ州やサンパウロ州ではその傾向が強くなった。このため、2011年第1四半期における1頭当たりの平均と畜重量は231.1キログラムとなり前年同期の239.0キログラムより7.9キログラム軽量化している。
今年後半も高値推移と予測2005〜2008年は干ばつや牛肉価格の低迷から繁殖雌牛のと畜割合が増加した。この影響は2010年以降の出荷用肥育牛の不足を導いている。また、2010年第3四半期の干ばつによる増体率の減少、国民所得の向上による国内牛肉需要の増大、海外市場からの需要増などを要因として、去勢牛生体の国内価格は2010年11月に一時、1キログラム当たり7.7レアルまで急騰した。その後、2010年12月から2011年4月まで概ね7レアル前後の高値で推移した。 例年、ブラジルでは冬の始めとなる5、6月には、牧草不足からと畜頭数が増加し、一時的な需給緩和から価格の落ち込みがみられるが、今年も7月6日は同6.43レアルとなり、3カ月で約7%の価格低下となった。 しかしながら、関係者の間では、肥育牛の不足に加え、2011年後半も所得の向上から消費者物価が高騰すると見ており、今年後半も引き続き高値で推移すると見ている。
ロシア禁輸措置の影響が懸念ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によれば、2010年後半以降、減少傾向にあった輸出量は2011年2、3月に一時回復の兆しを見せたものの2011年1〜5月では32万7963トンで前年同期比15.5%減となった。一方、輸出額は16億3975万5千ドルで同12.8%増となり、1トン当たりの単価は5000ドルに接近した。このまま推移すれば、2011年の単価は過去最高になると予測できる。 2011年1〜5月の輸出先をみるとロシアが11万5560トン、5億1622万9千ドルと最も貿易量が多く、ブラジルにとって重要な貿易相手国だ。このような中、ロシア政府は本年6月15日からパラナ州、リオグランデドスル州、マットグロッソ州にある85の食肉処理施設からの輸入を停止すると発表した。今回の突然の禁輸はブラジルにある施設の衛生的な問題が原因としているが、地元コンサルタントによれば、ロシアのWTO加盟に対するブラジルの支援を取り付けたいという政治的な理由により、取られた措置とみられている。ロシア市場の牛肉不足を考えると、ロシア側に与える影響も少なくないことから、1カ月ほどで輸入停止が解除されものとみられているが、輸出見通しが立たないことから、今後の牛肉生産に影響を及ぼすことが懸念される。 |
元のページに戻る