需給動向 国内

◆飼 料◆

23年7月〜9月期の配合飼料供給価格、約1,300円値上げ


◇絵でみる需給動向◇


 全国農業協同組合連合会(全農)は6月17日、平成23年7〜9月期の配合飼料供給価格の値上げを発表した。価格は全国全畜種総平均トン当たり、前期(4〜6月)から約1,300円引き上がる。

 商系各社、専門農協も、既に配合飼料供給価格を同約1,100円〜1,500円値上げすることを発表している。

 なお、配合飼料価格が直近1年間の平均価格を上回った場合に発動される「通常価格差補てん金交付事業」により、配合飼料価格安定基金(生産者と飼料メーカーが拠出する通常補てん基金)から同4,700円が交付されるため、生産者の実質負担額は軽減される。

 全農が発表した飼料情勢は以下のとおり。

①トウモロコシのシカゴ定期相場の価格は、3月上旬にはブッシェル当たり600セント台半ばで推移していたが、期末在庫率が歴史的水準にあること、天候の悪化により作付けが遅れていることから上昇し、17日現在は700セント台で推移している。今後は、生育期の天候により左右されるが、依然エタノール在庫率が低水準にとどまる一方で、エタノール向けなどの需要が引き続き旺盛であるため、価格は堅調に推移するものと見込まれる(図6)。

図6 トウモロコシ、大豆ミールのシカゴ定期相場
資料:日本経済新聞

②大豆ミールのシカゴ定期相場の価格は、3月上旬にはトン当たり400ドル台で推移していたが、南米産大豆の収穫が順調であること、中国向け大豆の輸出需要が停滞していることから、6月17日現在は390ドル前後で軟調に推移している。国内産大豆ミール価格は、シカゴ定期が弱含みであること、前期に比べ為替が円高傾向であることから値下がりが見込まれる。

③米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、2月下旬から3月上旬まではトン当たり55ドル前後で推移していたが、原油相場の高騰による燃料価格の上昇や南米産穀物輸出が最盛期を迎えることなどから3月中旬にかけて60ドル台まで上昇した。その後、新造船の竣工が順調なこと、中国の石炭輸入が一時的に停滞していることから下落し、6月17日現在は55ドル前後で推移している。今後は、燃料価格が高止まりしているものの、船腹需給が緩和していることから、海上運賃は現行水準での展開が見込まれる(図7)。

図7 海上運賃の推移(ガルフ〜日本)
資料:社団法人配合飼料供給安定機構

④外国為替は、3月中旬までは83円を挟んで推移していたが、米国経済に回復の兆しがみられ始めたことから4月上旬にかけて85円台まで円安が進んだ。しかし、失業率の高止まりなど米国の景気回復が遅れるとの見方が強まり、6月17日現在は81円前後で推移している。今後は、日本と米国の景気回復の先行きが不透明であることから、一進一退の相場展開が見込まれる。

 このような中で、米国農務省は6月30日に公表した「Acreage」において、2011/12穀物年度(2011年9月〜2012年8月)におけるトウモロコシ作付面積の予測値について、前月の農業観測の予測値(6月9日公表)を約160万エーカー上回る9228万エーカーに上方修正した。この報告を受け、同日のトウモロコシ価格は急反落し、前日比69セント減のブッシェル当たり629セントとなった。

 7月に入り、価格は同600セント台後半に持ち直したが前年同時期と比較すると、依然としてほぼ倍の高値圏にある。トウモロコシについては、配合飼料の成分構成の約5割を占めているだけに、今後の価格動向が注目される。


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