6月の豚枝肉の卸売価格(省令規格の東京・大阪市場加重平均価格)は、前年同月を1.7%上回るキログラム当たり547円となった。例年、豚枝肉の卸売価格は6月に最高値となるが、今年度は前年度に比べ値動きが大きいものとなった。
6月の豚枝肉の卸売価格の推移を見てみると、上旬は1日に同525円で取引を開始したが、その後連日値を上げ、8日には同587円の値をつけた。相場上昇について市場関係者は、全国的な肉豚出荷頭数の減少とともに、量販店による特売需要に伴う引き合いの強まりを要因として挙げている。肉豚の出荷頭数は、昨年夏の猛暑の影響による受胎率の低下や、6月に入ってからの気温上昇に伴う増体の遅れにより減少しており、それに伴う市場上場頭数の少なさから、市場買参人による引き合いは強まった(図2)。これにより、各地の市場において、格付け間の価格差が縮まっており、「等外」では異例の同400円を超える市場も見受けられた。
図2 6月の東京・大阪市場上場頭数(合計)の推移 |
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資料:農林水産省「食肉卸売市場調査」 |
その後中旬以降になると、上旬の高値相場の反動で、安価な輸入冷蔵品への切替えが進み、市場買参人による買い控えが行われたことから、15日以降同500円台前半まで値を下げ、27日には同502円まで低下した。しかしながら、月末には東京市場の上場頭数が低水準で推移したこともあって、再び卸売価格は上昇に転じ、30日の省令価格は同562円となった(図3)。
図3 6月の省令規格(東京・大阪市場加重平均)の価格推移 |
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資料:農林水産省「食肉卸売市場調査」 |
今後の価格見込みについて市場関係者は、依然として末端需要の盛り上がりは欠けるものの、上場頭数の増加は見込めないことから、7月前半は同500円台後半で推移するのではないか、としている。ただし、前年度は夏休みに入り学校給食がなくなる「海の日」以降、卸売価格は急激に値下がりしており、今年も7月後半の価格動向が注目される。 |