需給動向 海外 |
◆米 国◆
豚肉卸売価格は高水準にあるが、飼料価格の高騰 |
好調な輸出を背景に、豚肉価格は前年を大幅に上回って推移米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2011年1〜4月の豚肉輸出量(枝肉重量ベース)は、前年同期比19.2%増の75万7千トンとなった。中でも、韓国における口蹄疫発生により豚が多数淘汰されたことから、同国向け輸出量が同178.3%の増加を示し全体の輸出増をけん引した。また、1〜4月の豚肉生産量に占める輸出の割合は22.2%となり、前年の18.9%を大きく上回る結果となっている。 輸出増により米国内への供給がタイトとなるなか、緩やかではあるが米国の着実な経済成長も手伝って、豚肉価格、肥育豚価格は前年を大幅に上回って推移している。2011年6月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー、推測値)は前年同月を11.0%上回る100ポンド当たり93ドル(キログラム当たり166円:1米ドル=81円)となり、肥育豚価格(赤身率51〜52%、推測値)は同18.5%上回る100ポンド当たり69ドル(同123円)となった。また、豚肉の小売価格(ベーコン、ハムなどを含む小売価格から算出)も同様に高騰しており、1ポンド当たり348.4セント(100g当たり62円)と同14.5%上回っている。
繁殖豚頭数は2期連続で前年を上回るが、今年後半の生産量は前年並みこのように豚肉価格は極めて好調であるが、飼料価格が高値で推移しているため、現段階では年末に向けて大幅な生産拡大の兆候は認められない。 米国農務省全国農業統計局(USDA/ NASS)が6月24日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、本年6月1日現在の豚総飼養頭数は前年を0.5%上回る6500万頭となった。 内訳としては、繁殖豚が昨年6月1日時点よりも約1万5千頭多い前年比0.3%増の580万3千頭、肥育豚も前年比0.6%増の5919万7千頭と、それぞれ2期連続で前年を上回る数値となった。 肥育豚を体重別にみると、120ポンド以上(約54.4キログラム以上)のグループが前年を1.5%上回り、119ポンド(約54.3キログラム)以下のグループが前年と同水準であることから、今年残りの期間における出荷頭数については、ほぼ前年並みで推移することが見込まれている。
USDAが6月15日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によれば、高水準の飼料価格を踏まえ、秋頃より生産者は肥育期間を短くするものと予測されており、その結果、2011年第4四半期の生産量は、前年比2.0%減の60億5百万ポンド(2,724千トン)になると見込まれている。 また、来年前半の生産量についても、今年の6〜8月、9〜11月の分娩頭数見込みについても、それぞれ、前年比2.6%減、1.1%減となっており、1腹当たり産子数の上昇を考慮しても、現段階で大幅な伸びは考えにくい状況にある。 しかしながら、飼料価格が高騰するなか、繁殖豚飼養頭数はわずかではあるが増加していることも事実であり、2011/12年産トウモロコシ(9〜8月)が収穫されるにつれて、トウモロコシ需給が緩和し価格が弱含む兆候が出てくれば、今年後半から分娩頭数を増加させる可能性もある。 |
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