需給動向 海外 |
生体価格は依然堅調に推移、輸出量は2割減少
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と畜牛生体価格は2010年後半から引き続き一段高ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)の価格統計によると、2011年9月のと畜牛生体価格(サンパウロ州)は1キログラム当たり6.45レアル、前年同月比7%高となり、依然、堅調に推移している。 2010年は実質GDP成長率7%となる好調な経済を背景に、中産階級の購買力が高まり牛肉の需要が増加した。一方、同年下期には需要に見合ったと畜重量が確保されなかったため、需給がひっ迫したことにより11月のと畜牛生体価格は同7.35レアル、前年同月比44%高と急騰した。この価格高騰により、豚肉および鶏肉への代替需要が高まった。 CONABによると、2011年のと畜重量は658万2142トン、前年比5%減と見込まれており、依然、活況な国内市場を冷ますほど十分な供給量ではないことから、牛肉需給が大きく緩むことはないと考える。 2011年に入って、と畜牛生体価格は総じて低下基調で推移しているものの同年の第1−3四半期の下げ幅は4%と低く、と畜牛生体価格は依然高水準で推移している。
ロシアの禁輸措置の影響は限定的ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2011年第1-3四半期の牛肉輸出は、輸出量60万9897トン(前年同期比19.9%減)、輸出額30億8133.3万ドル(前年同期比4%増)であった。ブラジルの牛肉需要は国内が7割を占めており、従来から国内市場重視の傾向にあるが、国内価格高騰を受け、最近ではその傾向が一層強まっている。その結果、今年は輸出量が大幅に減少したものの、レアル高の影響により輸出価格(FOB)は上昇し1キログラム当たり5ドルを超えたため輸出額の増加につながった。 輸出先別では、ロシアは19万3068トン(輸出量シェア35.2%)、イランは10万7394トン(同19.6%)、エジプトは6万2024トン(同11.3%)となり、上位3か国で6割超を占めている。2011年第1-3四半期の輸出量は、同年6月に禁輸措置を発表したロシア(前年比12%減)の他、イランおよびエジプト(いずれも同30%減)で大きく落ち込み、これら上位3か国の落ち込みが響いている。現地関係者によると、ロシアの禁輸措置は政治的な思惑があるともいわれており、ロシア国内の牛肉需給状況を考えると、今回の措置が長期化するとは考えにくく、今後の影響は限定的であると考えられる。 輸出量は世界第2位に転落の予測2011年10月、米国農務省(USDA)が公表した2011年の主要国・地域の牛肉輸出量(推定)では、これまで圧倒的なシェアを占めていたブラジル産牛肉が豪州に抜かれ第2位となった。上位5か国は豪州135万トン(第1位)、ブラジル132.5万トン(第2位)、米国124.1トン(第3位)、インド110万トン(第4位)、ニュージーランド50.1万トン(第5位)である。
ブラジル政府は8月、インフレ懸念はあるものの、政策金利を0.5ポイント引き下げ12%ととし、レアル安を誘導した。牛肉輸出関係者は1ドル1.9レアルまで下がりレアル安を期待したものの、欧州の経済危機の影響から10月に入りレアルが再び買われ、現在、1ドル1.74レアル(11月4日時点)で推移している。今後の国内価格と為替次第では、USDAの予測どおり、ブラジルの輸出は大きく後退する可能性があるものと考えられる。 |
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