需給動向 国内

◆鶏 肉◆

鶏肉輸入量の増加傾向は一服


◇絵でみる需給動向◇


 国産品供給量の減少を見込んでの輸入量増加は、6カ月ぶりで4万トン台を割りこみ、23年9月(財務省「貿易統計」)の鶏肉輸入量は3万2千トン(前年同月比13.2%減)とかなり大きく減少した。しかしながら、年度累計では24万9千トン(前年同期比14.4%増)と、前年をかなり大きく上回って推移している。鶏肉調製品については、3万5千トン(前年同月比12.9%増)と前年度をかなり大きく上回ったが、鶏肉と鶏肉調製品を合わせた総輸入量は6万7千トンと、先月に比較し2万トンの減少となった。

 一方、鶏肉生産量(機構算出)は、高病原性鳥インフルエンザや東日本大震災以降、前年度を下回って推移していたが、8月・9月と2カ月連続で前年度を上回り、11万3千トン(同1.4%増)となった。主産地での復興も進み、秋の冷え込みが遅かったことで成育が良好だったこと、さらには年末のクリスマス需要の手当てを見込んでの増産体制などで、今後の生産量は回復傾向にあるとみられる(図2)。

図2 鶏肉・鶏肉調製品輸入量、生産量及び在庫量の推移
資料:財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ、農林水産省「食鳥市況情報」

 これらに伴い、鶏肉推定期末在庫量(機構調べ)は、国産品については前年割れとなっているが、輸入品在庫及び在庫全体では依然として積み増されている。推定出回り量について、国産品は生産量の増加に伴い9カ月ぶりに前年を上回る11万3千トン(同1.8%増)、輸入品は4カ月連続で前年を上回る3万8千トン(同1.6%増)となり、景気低迷の中、鶏肉に対する需要は依然として高いことがわかる。

 9月の国産鶏肉卸売価格(もも肉とむね肉を合わせた価格)はキログラム当たり869円(同8.7%高)、10月(速報値)では同875円(同5.9%高)と、需要期を前に国産品の品薄を背景として高値で推移している。今後、国内生産量は回復してくると思われるが、輸入量の動向、特に鶏肉調製品については洪水の被害に遭ったタイからの輸入量の動向が注目される。


元のページに戻る