需給動向 海外 |
バター価格下げる
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2011年のバター価格は、一貫として前年を上回って推移したものの、秋に入り下がり始めている。9月と10月の価格は、100キログラム当たり403ユーロ(約44,733円、1ユーロ=111円)、387ユーロ(約42,957円)と、下落傾向になっている。しかし、10月の価格は、政府介入価格より6割高となっており、依然として高水準である。下落した要因は、EUにおける生乳生産のピークは終了し、今後の需要を見越して一定量の在庫の確保に目途がたったことなどが挙げられる。 一方、2011年の脱脂粉乳価格は、4月まで大きく前年を上回って推移したものの、5月以降は前年並みで推移している。9月は、100キログラム当たり230ユーロ(約25,530円)となり、10月も横ばいで推移した。
オランダの生産者団体であるLTOは、EU産の乳製品価格が高水準であることについて、国際需要がひっ迫していること、ユーロ安により相対的に国際競争力が高まっていることを上げている。 9月以降、ニュージーランドの生乳生産のピークを向かえ、6月から9月までの生乳生産量は、前年対比10%増の好調な滑り出しであったことが、国際市場価格の下落要因となった一方で、中国などで需要が高いことから価格は高水準で推移しており、その動向がEUにおいても高水準を維持させている。 欧州委、短期需給予測を発表欧州委員会は10月、「短期見通し」を発表した。
それによると、生乳生産および出荷量は、2010年は前年比1.1%増加したが、2011年は同2.0%の増加で1億5080万トン、2012年はさらに同0.3%増加でおよそ1億5100万トンとの見通しである。出荷量の増加要因は、飼養頭数は減少するものの1頭当たりの乳量の増加が挙げられる。また、加盟国は、例年、生乳クオータの調整を下半期に行うため、割当量の残している国において増産が見込めることから下半期に出荷量は増加するとしている。 チーズ生産量については、2011年7月までで0.6%増加しており、2011年全体では約1%の増加が見込まれる。これは、域内および域外の需要が増加することが要因である。域内需要の伸びについては、特にEU12における一人当たりのチーズの消費量の増加が牽引している。EU12の消費拡大は、チーズに限らず、飲用牛乳などそのほかのチルド製品についても同様であることから、域内消費量の増加による生産量の増加が見込まれている。 一方、全粉乳の生産量は、2011年および2012年とも変動はないとしている。全粉乳は、生産量に対する輸出割合が高く、国際市場との影響が強い。国際市場において、EU産は、ニュージーランド産と競合するため、中国などからの需要が増加すると見込まれるものの、輸出量の拡大は見込めない。 脱脂粉乳の生産量は、2011年は前年比9.0%の増加見込まれており、2012年も同4.0%の増加が予想されている。脱脂粉乳も輸出割合が高く、中国からの需要の高まりから輸出量の増加が見込まれている。実際、2011年7月までで輸出量は前年同期比で33%の増加を示している。また、従来、EUの主な輸出先は、アルジェリアであったが、中国における脱脂粉乳の需要の高まりにより中国が重要な輸出先となってきている。 バター生産量は、2011年は同1.2%の増加、2012年同1.0%の増加が見込まれている。これもチーズ生産と同様で域内需要の伸びが要因である。また、今後のバターの取引状況については、域外からの輸入は、国際価格が高く推移していることから、可能性は低く、域外への輸出の可能性も域内価格が好調であることから低くなるものと見込まれている。 |
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