需給動向 海外

◆チ リ◆

国内価格および輸出価格ともに上昇基調


国内価格は6か月連続上昇

 チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2011年9月のチリ産豚肉生産者価格は1キログラム当たり1.59ドル(前年同月比15.7%高)となり、同年3月から6か月連続して上昇している。チリの人口は1700万人と市場規模は小さいが、一人あたりの年間豚肉消費量は25キログラムで安定している。また、順調な経済成長を背景に、豚肉需要は常に一定量見込まれることも価格下落の要因が少ないと考えられる。チリでは、2008年の国際金融危機以降、安定した豚肉供給体制のバランスが崩れたと考えられ、2009年、2010年ともに9月に価格の下落がみられた。本年も同様の価格変動は想定されるが、その後の反発も予想されることから、引き続き価格の上昇基調は続くと思われる。

図11 チリ産豚肉生産者価格
資料:チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)
表5 チリ産豚肉の輸出先国(2011年1−9月期)
資料:チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA) 
注:製品重量

輸出量25%減、平均輸出価格(FOB)50%高

 国内市場からの引き合いが強かったため、輸出用の豚肉確保は困難となったことから2011年1-9月期の輸出量は7万2081トン(前年同期比25.7%減)、輸出額2億8770万ドル(同10.4%増)となった。これにより、1キログラム当たりの平均輸出価格は4ドルで前年同期比48.6%高の大幅高値で推移している。

 主な輸出先国は、口蹄疫の発生以来国内需給がひっ迫している韓国、次いで日本、ドイツが続く。アルゼンチンでは深刻な牛肉不足が続いており、代替需要としてのチリ産豚肉が注目されており、今後もアルゼンチン向けの輸出増加が見込まれる。

最近は世界の豚肉輸出で第6位を維持

 米国農務省(USDA)によると、近年、チリ産豚肉は年間14万トンほど輸出され、世界の豚肉輸出量で第6位に位置している。2011年の世界の豚肉輸出量は657万4千トンと推定されており、国際金融危機後の2009年が565万9千トンと比べ16%の成長が見込まれている。このような世界的な豚肉の需要の高まりを背景に、チリは今後、繁殖用母豚を30万頭増頭する計画があり、世界の豚肉市場の成長と共に生産規模を拡大していく予定である。

図12 世界の豚肉輸出量の推移
資料:米国農務省(2011年10月)
注1:2011年は推定、2012年は予測
注2:枝肉重量



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