2011年1〜8月の輸出量は中国、韓国向け中心に大幅増加
欧州委員会によると、EUの2011年1〜8月における豚肉輸出量(生体、内臓肉などを含む)は204万8758トン(製品重量ベース、前年同期比23.4%増)と前年同期と比べ大幅に増加した。これは、ユーロの為替レート低下により国際市場におけるEU産豚肉の相対的な競争力が向上したことが要因とみられる。
なかでも、中国および韓国向け輸出が大幅に伸び、それぞれ22万561トン(同95.0%増)、14万630トン(同113.3%増)となった。中国では、消費量の増加に国内生産が追い付かず、輸入需要が高まっている。これまで、中国向け輸出の大半は安価な内臓肉であったが、最近では同国の経済発展などを背景に冷蔵・冷凍豚肉の輸出も増加している。2011年1〜8月の輸出全体に占める冷蔵・冷凍豚肉の割合は22.8%と、前年同期(12.2%)と比べ大きく増加した。一方、韓国では大規模な口蹄疫の発生による飼養頭数の減少に伴なって豚肉の供給が不足し、輸入が増加した。そのほかの輸出先も全体的に増加傾向となっており、最大輸出先のロシア向けは56万762トン(同7.2%増)、日本向けは15万2985トン(同2.9%増)となった。ウクライナ向けは唯一減少し、6万4164トン(同20.6%減)となった。これは、同国が豚肉自給率の向上のため国内で増産に取り組んだ影響とみられる。
表3 域外向け豚肉輸出量(2011年1〜8月) |
(トン、製品重量ベース) |
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資料:欧州委員会 |
好調な域外輸出を背景に、EUの豚枝肉卸売価格は堅調に推移している。例年、豚枝肉卸売価格は春先から夏季の需要期に向けて上昇し、その後下落する傾向にある。しかし、夏季の需要期が終了しても価格は下がらず高水準で推移している。10月の平均価格は100キログラム当たり155.93ユーロ(約17,308円、1ユーロ=111円)と、9月からわずかに上昇し、前年同月と比べ13.1%高となった。
図10 豚枝肉卸売価格の推移 |
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資料:欧州委員会 |
2012年豚肉輸出量は前年下回る見込み
このように、域外輸出、豚肉価格とも堅調に推移しているものの、欧州委員会の豚肉需給予測(2011年10月発表)によると、2012年における豚肉生産量は2291万1000トン(前年同、枝肉重量ベース)と、前年並みにとどまる見通しである。これは、世界的な穀物価格の高騰を背景に飼料価格が上昇し、養豚経営の収益性が低下した結果、繁殖用雌豚頭数が減少傾向にあるためと考えられる(参照:畜産の情報2011年11月号需給動向)。一方、消費量は2089万8000トン(同0.5%増)と前年からわずかに増加すると予測されている。このため、輸出量は前年をやや下回る203万5000トン(同4.3%減)と見込まれている。
表4 豚肉需給の見通し |
(千トン/枝肉重量ベース) |
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資料:欧州委員会 |
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