需給動向 国内

◆豚 肉◆

23年度上半期の豚肉、生産量、輸入量ともに減少


◇絵でみる需給動向◇


 平成23年度上半期(4〜9月)の豚肉は、生産量、輸入量ともに前年同期を下回ったものの、在庫の取り崩しが進み、推定出回り量は前年同期を上回った(表2)。

表2 平成23年度(4〜9月)豚肉需給表
資料:農水省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、在庫量は農畜産業振興機構調べ。
注:数量は部分肉ベース

 農林水産省「食肉流通統計」によると、上半期の豚肉生産量は、前年同期比2.1%減の423,573トンとなった。特に、昨年8月に種付けした肉豚が出荷される時期に当たる7月は、昨夏の猛暑による受胎率低下の影響などから、前年同月比8.1%減となった。8月以降は前年同月を上回る生産量となっている。

 財務省「貿易統計」によると、上半期の豚肉輸入量は、前年同期比3.1%減の391,417トンとなった。国産品と競合する冷蔵品は、同13.4%増となったものの、冷凍品は、同9.6%減となった。このことについて、当機構が毎月実施している主要な輸入商社からなる豚肉輸入動向検討委員会によると、冷蔵品は、8月中旬まで国内枝肉相場が堅調に推移したことから、安価な輸入品で代替する動きがみられたが、冷凍品は、北米現地相場が高値で推移していたことから、当面の必要数量のみ確保した結果としている。

 また、当機構が実施している食肉保管状況調査によると、豚肉の推定期末在庫は、前年が高水準であったことから、9月末現在では前年同月比18.6%減の161,693トンと大幅な減少となった。国産品在庫は、6月以降ほぼ横ばいで推移し、9月末現在では同28.2%減となった。一方、輸入品在庫は、5月までは前年同期を上回る水準で推移していたものの、6月以降取り崩しが進み、9月末現在では同16.8%減となった。例年、年末にかけて在庫の取り崩しは進む傾向にあり、今後どの程度まで取り崩しが進むか注目される。

 これらの結果、上半期の豚肉の推定出回り量は、前年同期比2.2%増の827,134トンとなった。国産品は、前年同期比1.2%減となったものの、輸入品は、同6.0%増となっており、消費者の根強い低価格志向から、安価で安定的に数量を確保できる輸入豚肉の引き合いが高まったためと考えられる(表2)。

 こうした需給動向を反映して、豚枝肉の卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)は、8月まで前年同月を上回って推移したものの、9月は同13.1%安のキログラム当たり451円、10月は同14.6%安の同373円(速報値)と前年同月をかなり大きく下回った(図1)。今後は、年末に向けて生産量は増加するものの、鍋物需要などにより消費量も増加傾向となることから、卸売価格の一定の回復が見込まれる。

図1 平成23年度(4〜10月)豚枝肉の価格推移
(東京・大阪市場の省令規格加重平均)



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