需給動向 海外 |
総飼養頭数が減少局面にある中、2010年の生産量は前年をわずかに上回る見込み |
11月のフィードロット出荷頭数は前年同月比8.5%増米国農務省(USDA)が2010年12月17日に公表した「Cattle on Feed」によると、2010年11月のフィードロット(収容能力1,000頭以上規模)からの出荷頭数は、前年同月比8.5%増の177万4千頭となった。これは、米国の景気回復に伴う需要増や、同年5、6月の導入頭数が多かったためとみられる。2010年1〜11月累計では、前年同期比1.5%増の2025万4千頭と、2006年以降4年ぶりに前年を上回った。 また、11月のフィードロット導入頭数は、同6.2%増の195万8千頭と、4カ月連続で前年を上回った。体重別に見ると、699ポンド(317.1kg)以下の体重のまだ軽い子牛は同13.0%増の121万5千頭と、トウモロコシ価格の高騰にもかかわらず、オクラホマやテキサスなど干ばつによる牧草の生育不良のため、導入が増加したとみられる。同年1〜11月累計では、2008、2009年の導入頭数が少なかったことから、同4.5%増の2157万7千頭となったが、2004〜2007年平均からは0.4%減となっている。しかし、導入頭数の増加から、フィードロット外の肥育素牛の頭数が減少しており、2011年以降の肥育素牛の供給減が懸念される。 なお、2010年12月のフィードロット飼養頭数は、前年同月比2.9%増の1161万頭と、7カ月連続で前年を上回っているため、2011年前半までの出荷可能の肥育牛は十分と見込まれる。
去勢雄牛と未経産牛のと畜頭数増加フィードロットからの出荷増を受け、11月の牛と畜頭数は、前年同月比10.7%増の287万6千頭と前年をかなり上回った(USDA「Livestock Slaughter」12月23日公表)。その他の要因として、豪州からのひき肉などの加工用向け牛肉の輸入が2010年1〜10月の累計で28.2%減と大幅に減少したことから、これを補うため去勢雄牛(同12.1%増)、未経産牛(同8.0%増)、およびカナダ産生体牛のと畜頭数が増加していることなども挙げられる。なお、1〜11月累計では、前年比2.5%増の3134万7千頭となった。
2010年生産量は前年を上回るが、2011年は下回る見込み2010年11月の牛肉生産量(枝肉重量ベース)は、と畜頭数が増加したことなどから前年同月比10.9%増の101万4千トンとなった。2010年1〜11月累計では、国内における総飼養頭数が減少傾向にあるにもかかわらず、前年同期比0.9%増の1090万6千トンとなった。USDAによると2010年通年でも、前年比0.9%増の1187万8千トンにとどまると見込まれ、2010年2月に開催された米国農業観測会議において公表された、2010年の生産量を前年比1.2%減の1163万2千トンとする見通しは、その後の経済の好転などを反映して上方修正されることとなった。 なお、2011年については、生産量は、未経産牛のと畜頭数増や肥育素牛の供給不足により前年比2.5%減の1158万2千トンと、下降傾向となる一方、肉牛・牛肉価格は、国際的な牛肉の供給不足や景気回復に伴う需要増により強含みで推移するとみられる。
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