需給動向 海外

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12月の脱脂粉乳卸売価格は再び上昇、バターは依然として高水準で推移


◇絵でみる需給動向◇


脱脂粉乳は国際需要に後押しされ、前月比5.7%高

 12月の脱脂粉乳卸売価格は、前月比5.7%高となる100キログラム当たり215ユーロ(約23,435円。1ユーロ=109円)となった。この値上がりは、EUにおける生乳供給量が最も少ない時期である中、旺盛な国際市場の需要に支えられたためとみられる。

 同価格は9月以降、ユーロの米ドル、ニュージーランドドルに対する為替相場が高水準で推移したことにより、EU産の脱脂粉乳が北米産、オセアニア産との価格競争面で不利となったため下落が続いていたが、その状況に歯止めがかかったこととなる。(図11)

図11 脱脂粉乳の卸売価格の推移
資料:ZMB
  注:ドイツの脱脂粉乳(食品グレード)を指標とした。

バターは下落傾向が継続するも、依然として高水準

 一方、バターの卸売価格は、9月以降緩やかに下落を続け、12月は前月比2.2%安となる100キログラム当たり360ユーロ(約39,240円)となった。ただし、同価格は依然として介入買入価格の約6割高という高水準に変わりはない。バターの需給は、生産量が域内需要をようやく満たす程度にとどまっていることや、域内相場が国際市場より高く推移していた影響により域外向け輸出が低調であることなど、引き締まった状況となっている。また、介入買入在庫が全て解消されることが既に決定していることもあり、この好調な相場がどこまで続くのか、今後の動向が注目されている。(図12)

図12 バターの卸売価格の推移
資料:ZMB
  注:オランダのブランドバターを指標とした。

脱脂粉乳の介入在庫、4500トンを放出

 脱脂粉乳の介入在庫約19万トンについては、既報(「畜産の情報11月号」)のとおり、9万4千トンを2011年の食料支援制度で処理することが決定されている。さらに12月16日に開催された乳業管理委員会においては、4,500トンの放出が決定されたところである。最低落札価格は100キログラム当たり207ユーロ(約22,563円)で、12月の域内卸売価格の3.7%安と域内市場を刺激しない水準に設定された。また、続く1月6日の乳業管理委員会においても合計5,396トン(最低落札価格:100キログラム当たり212.10ユーロ(約23,119円)の放出が決定された。前述の通り、12月の脱脂粉乳相場は前月比5.7%高と介入買入在庫放出を行いやすい環境にあったとも考えられるが、依然として約9万トンの介入在庫を抱えている状況に変わりはない。欧州委員会は2011年も域内市場の悪化の回避と大量の介入買入在庫解消という難しいかじ取りを迫られることとなろう。


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