需給動向 海外

◆豪 州◆

2010年第3四半期の牛肉輸出量、主要3カ国向けは低迷


◇絵でみる需給動向◇


南米の供給減で、総輸出量は増加

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)が11月下旬に発表した報告書によると、2010年第3四半期(7〜9月)における牛肉輸出量は、生産量が前年同期比2%減と減少したにもかかわらず、同5%増の24万7306トン(船積重量ベース)と増加した。この要因については、南米の供給量が減少したことにより、ロシア、中東からの代替需要が増加したことを挙げている。

※この結果を踏まえ、2010年第1〜3四半期(1〜9月)では、前年同期を2.4%下回る68万5千トンとなった。

 種類別では、グレインフェッド(穀物肥育)牛肉、グラスフェッド(牧草肥育)牛肉はともに増加しており、特にグレインフェッド牛肉は同10%増の5万9201トンとかなり増加した。これは、最大の輸出先である日本向けが同10%増の4万3850トン、韓国向けが同16%増と増加したためとしている。

日本、韓国向けは前年同期並み、米国向けは加工用を中心に落ち込む

 国別にみると、日本向けはグレインフェッド牛肉について、フローズンが同39%増と大幅に増加したものの、チルドおよびグラスフェッド牛肉が前年を下回ったため、前年同期比2%増の9万1649トンとわずかな増加にとどまった。北米向けは同14%減の5万2216トンと、1996年以来最低の水準となった。これは、米国市場に比べ、ロシア、日本、インドネシアの市況がよりよかったためとしている。このため、加工用牛肉(ひき材用途)について、米国向けは同15%減少する一方、日本向けは同14%増、ロシア向けも前年同期から約16倍増加した。韓国向けは、今年に入ってから輸出量は増加傾向にあったが、依然として高値で推移した豪ドルおよび9月下旬の連休需要向け輸出が、米国との競合によって伸び悩んだため、前年並みの3万2019トンにとどまった。

表2 2010年第3四半期における国別牛肉輸出量
(トン)
資料:MLA

 主要3カ国以外の国として、ロシア向けは同154%増と大幅な増加となったが、これは同国における南米からの輸入量、特にアルゼンチンからの輸入量が同80%減少したことが大きいとしている。EU向けは、2010年1月より豪州産高級グレインフェッド牛肉に対する無税枠(年間2万トン)を設けたことから同4%増加した。また、同枠の新設により、グラスフェッド牛肉が同31%減少する一方、グレインフェッド牛肉は総輸出量の約3分の1を占めるまでに増加した。

日本の景気低迷を反映しフルセット輸出量は大幅減

 アイテム別にみると、フルセットが前年同期比18%減の7千1トンと減少した一方、シルバーサイド、シックフランクなどがいずれも増加した。これは、世界的な景気の低迷から、単価の安いパーツに需要が集まったことが背景にある。なお、フルセットについては、主要輸出先である日本向けが同17%減と大幅に減少したことが影響している。

図3 2010年第3四半期におけるアイテム別牛肉輸出量の増減率
資料:MLA
  注:シン/シャンクは増減なし

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