需給動向 海外 |
鶏肉卸売価格は堅調であるが、在庫は増加基調 |
増産基調の鶏肉生産量、10月は前年同月比3.6%増米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が公表した「Broiler Hatchery」によると、米国の主要19州におけるブロイラー向けひなの週間導入羽数は、2010年2月以降ほぼ前年を上回って推移し、その増加幅は10月以降拡大している。 年間を通じて底値を見ると、2010年は11月第1週の16万1千羽であり、これは1年前(10月第4週の15万1千羽)より1万羽多く、2007年に次ぐ水準である。2007年の場合、11月第3週(16万4千羽)を底に導入羽数を拡大し、2008年は過去最大となる生産量を記録することとなった。 また、同局が公表した「Poultry Slaughter」によると、10月のブロイラー生産量は144万3千トンと前年同月を3.6%上回った。2010年は、ほぼ一貫して前年を上回って推移し、1〜10月の累計では前年同期比2.9%増となっており、増産基調に変化の兆しはみられない。
輸出は減少、在庫は積み増しブロイラー生産が増加傾向にある中、最大の輸出先であるロシアの輸入禁止措置が解除された9月の輸出量は28万トンと前年同月を6.8%上回ったものの、1〜9月の累計では前年同期を5.6%下回った。このような状況により、ブロイラーの在庫は積み増す傾向にある。USDA/NASSが公表した「Cold Storage」によると、10月は3カ月連続で前年同月を上回る同14.0%増の31万7千トンとなり増加幅が拡大している。 部位別には、むね肉はほぼ2年にわたり前年同月を下回って推移しており、10月は同6.6%減の4万7千トンとなった。一方、骨付きもも肉(もも四分体)は、ロシアの禁輸を受けて本年2月以降前年同月を上回って推移し、10月は同68.7%増の5万4千トンとなった。手羽も昨年は堅調に推移したが、今年に入り在庫を積み増す傾向にあり、10月は同33.9%増の2万5千トンと10カ月連続で前年同月を上回った。 堅調な卸売価格丸どりをはじめ、手羽を除いた主要部位の卸売価格は堅調に推移している。 丸どり価格(12都市平均)は2月以降一貫して前年同月を上回って推移しており、11月は前年同月比12.9%高のポンド当たり81.0セント(約69円:1ドル=85円)となった。部位別では、むね肉の11月は18カ月連続で前年同月を上回る同4.8%高の120.9セント(約103円)となった。骨付きもも肉(もも四分体)は、ロシアの禁輸期間中の2〜8月は前年同月を下回ったが9月以降前年を上回って推移し、11月は同17.1%高の39.7セント(約34円)となった。これに対し手羽は、3月以降前年同月を下回って推移する中、その減少幅を拡大させて11月は同21.2%安の123.9セント(約105円)となった。
1人当たりの消費量(出回り量)は、1970年代後半から30年にわたりほぼ一貫して上昇してきたが、2007〜2009年の3年間は小売価格の上昇などから減少した。2010年の第1四半期は前年同期比3.6%増と2年ぶりに前年を上回り、第2四半期も同1.9%増となった。 堅調な価格と消費を背景に生産を伸ばしているところであるが、在庫が積み増し、トウモロコシをはじめとする飼料原料価格が高騰していることや、輸出に関してはロシアが2011年の関割を半減するとの報道があることなどから先行きは明るくない。今後の価格の動向が注目される。 |
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