需給動向 海外

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12月3日の豚肉会合、常設の議論の場を要求する声が上がる


◇絵でみる需給動向◇


酪農ハイレベルグループと同様のしくみか

 飼料穀物価格の高騰など養豚をめぐる課題を議論するため、議長国であるベルギーの提案で「2020年に向けた養豚部門」と題する緊急会合が12月3日に開催された。この結論については12月13日に開催された農相理事会において、昨年の酪農危機の際に設けられたハイレベルグループと同様の常設の議論の場を養豚部門においても求める声が上がったことが議長国のベルギーにより報告された。

図4 豚枝肉価格および配合飼料価格の推移
資料:欧州委員会

 10月8日に開催された豚肉助言グループ予測委員会の資料によれば、前回2007〜08年の飼料原料価格高騰時よりも養豚生産者の財政基盤が弱体化していることから、2010年の飼料価格高騰は域内の養豚生産者にとってより深刻な影響をもたらす可能性があるとしている。図4は、同予測委員会で提示されたグラフであるが、2010年下期における豚枝肉価格と生産に要した配合飼料価格との差額(棒グラフ)は、95年から07年までの平均値(100キログラム当たり50ユーロ程度(約5,550円:1ユーロ=111円))を大きく割り込むと予測されていることを示している。前回の飼料原料価格高騰の際には、新規加盟国を中心に養豚経営からの離脱が進み、EU27の豚飼養頭数が2007年末から2008年末の1年間に5%も減少するなど生産基盤が大きく縮小したことから予断を許さない状況と言える(図5)。

図5 EU27における豚飼養頭数の推移
資料:GIRA
  注:12月時点の飼養頭数。

肥育経営の悪化を反映し、子豚価格も低水準で推移

 肥育経営が配合飼料原料価格の高騰の影響を受ける中、子豚市場も低迷を続けている。図6は、過去5年の平均値、2009年および2010年の子豚価格をそれぞれ示したものであるが、図4において、豚枝肉価格と生産に要した配合飼料価格との差額が平年の値を大きく割り込むことになった2010年下期と時を同じくして、子豚価格も大きく下がっていることが読み取れる。年末にかけて子豚価格が上昇基調に転じているものの、過去5年の平均値を下回っており、繁殖経営にとっても厳しい経営環境となっていることが読み取れる。

図6 EU域内における子豚の平均市場価格の推移
資料:欧州委員会

 このように、目下の飼料原料価格の高騰は養豚部門全体に深刻な影響をもたらしつつあり、今後欧州委員会がどのように対処していくか注目される。


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