需給動向 海外

◆ブラジル◆

第1四半期の輸出は数量・金額とも増加

◇絵でみる需給動向◇


 2011年第1四半期の輸出は、数量が前年同期比10.7%増の84万8739トン、金額が同30.4%増の160万8324ドル(約1億3,176万円、1ドル≒81.9円)であった。第1四半期の3カ月間でドルがレアルに対し2.7%下落し、ドル安レアル高が進行したにもかかわらず、堅調な国際需要に支えられ、輸出量および輸出額はともに増加することとなった。

 輸出量の3割超を占める中東向けは、政治的混乱から輸出量の減少が危惧されたが、最大の輸出相手先であるサウジアラビア向けは同17.9%増の13万7847トン、アラブ首長国連邦向けが同27.7%増の6万74トンと増加した。2月末にブラジル養鶏連合(UBABEF)の会長が、ドバイ市で開催された国際食品展に参加するなど、ブラジルでは、鶏肉消費量が急増する中東市場での販売拡大に力を入れている。

表4 第1四半期の鶏肉輸出
資料:ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)

 中国向け輸出量は同86.2%増の3万9335トンと急増した。昨年、25カ所の食肉処理施設に対し、輸出が許可された。このため、香港経由ではなく、中国へ直接輸出することが可能となったことが増加の要因として考えられる。

 UBABEFは、2011年の鶏肉輸出量は、中東向け同8.5%増の127万トン、中国向け同47.9%増の30万トンへ増加すると予測している。特に、中国向けは、2011年に、新たに50カ所の食肉処理施設が輸出を許可される見込みとなり、輸出量の大幅な増加が期待される。

表5 鶏肉の価格動向
資料:国家食糧供給公社(CONAB)、サンパウロ州農務局農業経済研究所(CEPEA)、SECEX

国内市場の鶏肉価格が高騰

 国内では、可処分所得の増加や、高騰する牛肉の代替品として、鶏肉への需要が増加した。また、世界的な穀物の価格高騰は、ブラジルでも同様に起こっており、トウモロコシなどの穀物飼料を必要とする鶏肉産業への影響は大きい。2011年3月のトウモロコシ価格は、前年同月比78.7%高の60キログラム当たり27.52レアル(約1400円、1レアル≒50.9円)と急騰していることに伴い、2010年8月以降、前年同月を上回る水準となり、鶏肉生産者価格も、同25%高の1キログラム当たり2.0レアル(約102円)となった。

図5 トウモロコシ価格の推移
資料:CONAB
  注:サンパウロ証券取引所の価格

 しかし、不足していた牛肉の供給が少しずつ戻ってきていること、ドル安レアル高により鶏肉を輸出するよりも国内仕向けが増加傾向であることから、現地関係者の間では、今後、国内価格の上昇に一服感が出てくると予想されている。


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