1.2011年の鶏肉需給見通し
2011年の鶏肉生産量は前年比5.2%増の1320万トンと増加する見込みである。米国農務省(USDA)によると、旺盛な需要に加え、輸入量も減少しているため、生産が増加している。
表21 中国の鶏肉需給状況 |
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資料:USDA
注:枝肉価格。もみじ含む |
2. 最近の需給状況
例年気温が低下する冬季は、クリスマスや新年、旧正月など各種の祭日などにより需要が増加する。一方で生産サイドについては、増産意欲は強かったものの、低病原性の鳥インフルエンザに代表される疾病により供給が追い付かず、タイトな需給状況が続いた。
しかし、春以降は飼養頭数の増加による生産増と、気温の上昇および鶏肉に対する亜硝酸塩の混入やバリウムによる鶏の体重水増しなどのスキャンダルによる需要減から、需給バランスは均衡に向かうものとみられている。
図19 鶏肉の月別需給の推移 |
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資料:中国農業科学院 |
3. 都市部における市場価格の推移
2010年秋から2011年4月までの市場価格の動きをみると、需要が増加する一方で供給が追い付かなかったこと、飼料価格や労賃など生産コストの上昇が続いていたことから、昨年の夏以降一貫して上昇した。需要のピークである11月〜1月を過ぎた後も継続する生産コストの高止まりのため、価格は高い水準のまま推移している。
図20 鶏肉都市市場価格の推移 |
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資料:国家発展開発委員会
注:と体ベース(中国の定義による。生体重の87%程度) |
4. 鶏肉および鶏肉調製品貿易
2010年に前年比134%と大幅に増加した鶏肉調製品の輸出量は、2011年に入っても増加傾向にあり、2011年1〜4月までの累計で75千トンと前年同期比で32%の増加となっている。主な輸出先国は日本であり、2010年の実績で84%のシェアを占めている。その他は香港、韓国が続くが、EU向けについても2009年に輸出が再開し、英国およびオランダを中心に量は少ないが大幅な増加傾向で推移している。
一方、鶏肉の輸入のうち、骨付きの冷凍鶏肉輸入量は、主な輸入先国であった米国に対するアンチダンピング税および相殺関税の適用によって、2010年は前年比21%の37,793トン、2011年1〜4月の輸入数量は前年同期比21%の4,917トンと大幅に減少している。
これに対して手羽の輸入は大幅に増加しており、米国産が減少するものの、ブラジルやアルゼンチン産が大幅に伸びている。2011年1〜4月の累計では前年同期の2倍となる43,504トンの輸入量となっている。
鶏の足(モミジ)については2010年の実績で321,076トンの輸入があり、米国が減少する一方、ブラジルやアルゼンチンからの輸入が増加している。
今後はブラジルの対中輸出強化による冷凍鶏肉輸入の増加も予想される。ブラジルの農業大臣は2011年5月、中国向け鶏肉加工施設として25工場を新規に認定し、合計で49工場からの輸出が可能になるとの発表を行った。同大臣は、ブラジルからの中国への鶏肉輸出能力は2倍になるとしている。
表22 鶏肉調製品の国別輸出量 |
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資料:GTI社 "World Trade Atlas"
注:HSコード160232 |
表23 冷凍鶏肉(骨付き肉)の国別輸入量 |
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資料:GTI社 "World Trade Atlas"
注:HSコード02071411 |
表24 冷凍鶏肉(手羽)の国別輸入量 |
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資料:GTI社 "World Trade Atlas"
注:HSコード:02071421 |
図21 鶏肉調製品の月別輸出量 |
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資料:GTI社 “World Trade Atlas” |
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