米国農務省世界農業観測ボード（USDA／WAOB）は6月9日、2011/12穀物年度（2011年9月〜2012年8月。以下、「年度」）における国内外の主要農作物の需給見通しを公表した。

米国のトウモロコシ生産量は下方修正されるが、過去最高となる見込み

　米国における2011/12年度のトウモロコシ生産量は、先月予測から3億500万ブッシェル引き下げられ、前年度比6.0％増の132億ブッシェルとされたが、過去最高を記録した2009/10年度を1億800万ブッシェル上回っている。下方修正の理由は、天候不順等による作付の遅れから、作付予測面積が3月の生産者意向調査の92.2百万エーカーから150万エーカー引き下げられて90.7百万エーカーとされたことに加えて、5月のオハイオ州南部やミシシッピー川流域、6月のミズーリ川流域の洪水の影響により収穫面積が先月より190万エーカー引き下げられて83.2百万エーカーとされたことによる。なお、トウモロコシ作付面積は通常、6月上旬の作付面積調査結果が6月30日に公表されるまで、3月の生産者意向調査結果が生産量の積算根拠として採用されるが、今回はその数値を待たずに修正されている。このことは、今年の天候不順による作付の遅れが例外的であったことを裏付けている。

表18　米国産トウモロコシの需給見通し（2011年6月9日米国農務省公表）

資料：USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」 　 注：年度は、各年9〜8月

　生産量の減少が大きかったことから、2011/12年度の期末在庫数量は、先月予測から2億500万ブッシェル引き下げられ6億9500万ブッシェル（前年度比4.8％減）と予測された。この結果、期末在庫率は5.2％となり記録的な低水準であった前年の5.4％をさらに下回ることになったことから、生産者平均販売価格は、過去最高値と予測された前月の値から下値、上値ともに50セント引き上げられ、ブッシェル当たり6.00〜7.00ドルになると予測された。

中国の消費量増加などにより世界の2011/12年度トウモロコシ在庫は下方修正

　世界のトウモロコシ生産量は、先月の予測値と比較して、中国の生産量が上方修正されたものの、米国の生産量が下方修正された結果、先月予測から155万トン引き下げられ、前年度比5.6％増の8億6618万トンとされた。

　他方、中国において2010/11年度の期末在庫が先月予測から5百万トン引き下げられたことに加えて、消費量で飼料および工業向けが先月予測から13百万トン上方修正されたことなどから、世界における2011/12年度のトウモロコシの期末在庫量は先月予測から1725万トン引き下げられ、前年度比4.7%減の1億1189万トンと予測された。

表19　世界各国におけるトウモロコシの需給見通し （2011年6月9日米国農務省公表）

資料：USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」 　 注：年度は、世界各国の穀物年度

大豆は在庫を増やすが価格は上昇

　2011/12年度における米国の大豆生産量、国内消費量はともに前月の値が据え置かれた。大豆の輸出量においては、中国の輸入需要の減少等から2000万ブッシェル引き下げられた。この結果、期末在庫は3000万ブッシェル引き上げらたものの、トウモロコシの価格の上昇に引きずられて1ブッシェル当たりの生産者平均販売価格は、下値、上値を1ドル引き上げて13.00〜15.00ドルになると予測されている。

表20　米国産大豆の需給見通し（2011年6月9日米国農務省公表）

資料：USDA/WAOB「World Agricultural Supply and Demand Estimates」 　 注：年度は、各年9〜8月