需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

22年度の生乳生産量、5年連続の前年度割れ


◇絵でみる需給動向◇


 平成22年度の生乳生産量は、経産牛飼養頭数の減少や夏の猛暑の影響による乳量の低下などを背景として、前年度比3.2%減の763万トンとなり、18年度以降5年連続で前年度を下回った。地域別に見ると、北海道が同0.9%減の389万7千トンとわずかな減少にとどまったが、都府県が同5.5%減の373万4千トンとなり、北海道の生乳生産量が初めて都府県を上回った(図6)。

図6 地域別生乳生産量の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

 生乳生産量のうち、牛乳等向け処理量は22年度も前年度比2.6%減の411万トンと少子高齢化や他飲料との競合等により長期にわたる減少傾向が継続することとなった。飲用牛乳等の生産量は、牛乳が同2.2%減の304万8千キロリットル、成分調整牛乳が同6.0%減の42万6千キロリットルとともに減少したが、加工乳は同16.1%増の24万3千キロリットルとなった。このうち牛乳は、20年度の飲用乳価の引き上げ等の影響で小売価格が上昇したことから、21年度に前年度比10%減となったが、22年度はこれをさらに下回った。一方、牛乳より安価な成分調整牛乳は21年度に前年度比72%増と大幅な増加を示した反動から、22年度は同6%減となった。また、加工乳については、20年度までは減少傾向にあったが、21年度に前年度比9%増と増加に転じ、22年度はこれをさらに上回った。このように、消費者の経済性志向がより一層加速し、牛乳から成分調整牛乳へ、さらには加工乳へと安価な商品に消費がシフトしたことを反映して推移したとみられる(図7)。

図7 飲用牛乳等の生産量の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

 次に、主要乳製品の生産量を見ると、生乳生産量が減少する中、チーズやクリームの需要が堅調だったことから、バターが前年度比14.5%減の70,120トン、脱脂粉乳が同12.6%減の148,790トンといずれもかなり減少した。また、機構によるカレントアクセス分を含め、バター1,820トン、脱脂粉乳1,110トンが輸入されたことから、推定出回り量は、バターが同8.1%増の8万3890トン、脱脂粉乳が同7.4%増の16万880トンとそれぞれかなり増加した。

 こうした状況の中、バター及び脱脂粉乳の卸売価格(大口需要者価格)は、生産量が前年度比でいずれもかなり減少したが、上半期の在庫量が高い水準だったこともあって、バター(1キログラム当たり)が1,054円(前年度比5.7%安)、脱脂粉乳(25キログラム当たり)が14,643円(同2.7%安)といずれも前年度を下回った。


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