需給動向 海外

◆豪 州◆

2011年4月の牛肉輸出量は、主要相手国で軒並み減少


◇絵でみる需給動向◇


2011年4月の牛肉輸出量は、豪ドル高の影響を受けて減少

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2011年4月の牛肉輸出量(子牛肉を含む。船積重量ベース。以下同じ)は前月比16%減、前年同月比1%減の7万3,784トンとなった。減少の要因として、豪ドル高に加え、3月後半から4月前半にかけての豪州東部一帯への降雨やイースター休暇によって牛の供給量が減少したことが挙げられる。なお、2011年1〜4月の累計では、前年同期比6%増の27万9,888トンと増加となった。

日・米向けは大きく減少、韓国向けは急増は一服

 輸出国別に見ると、最大の輸出相手国である日本向けは、3月の東日本大震災の影響に加え、豪ドル高により米国産牛肉の輸入が増加し、前年同月比12%減の2万6,383トンとなった。このうち、冷蔵牛肉は同22%減の1万120トンと大幅に減少し、2001年12月以来、最も少ない輸出量となった。一方で、冷凍牛肉は同3%減の1万6,263トンとわずかな減少にとどまったが、これは、加工用やファミリーレストランなどにおける牛肉需要が堅調だったことから、冷凍グレインフェッド牛肉が同9%増の3,963トンと増加したことによる。

 米国向けは、米ドルに対する豪ドル高の影響を受けて、ほかの輸出国と競合したことにより、同20%減の1万3,247トンとなった。

 韓国では、口蹄疫の影響で豚肉価格が上昇したことによって牛肉需要が増加しており、2011年1〜3月の牛肉輸入量は前年同期比19%増と大幅に増加した。しかし、4月については、豪ドル高の影響で米国産牛肉の輸入が増加したため、前年同月比2%増の1万953トンにとどまった。今後は、韓国国内の牛肉在庫量が増加していることから、在庫放出の動きが活発になるとみられる。

 一方、ロシア向けは、同69%増の6,950トンと大幅に増加した。これは、南米からの輸入量が減少し、代替需要が増加したためとみられる。

図4 主要相手国別牛肉輸出量(2011年)
資料:DAFF

東部地区若齢牛指標価格は輸出量減少から5月以降、下落傾向に

 こうした輸出量の減少を受けて、5月17日現在の東部地区若齢牛指標価格(EYCI)はキログラム当たり389.75豪セント(約359円:1豪ドル=92円)となり、前月末(4月20日)から23.5豪セント値を下げた。なお、EYCI価格は、良好な天候により若牛の保留傾向が強まったため、4月の平均が同414.75豪セントと過去最高を記録していた。

 今後は、クイーンズランド州を中心に乾燥気味の気候が見込まれることから、牧草の生育状況によっては早期出荷が見込まれ、牛の出荷頭数は増加するとみられる。

図5 東部地区若齢牛指標価格の推移
資料:MLA

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