需給動向 海外 |
上昇の続く豚肉価格と米国産豚肉の輸入増加 |
1. 2011年の需給見通し2011年の豚肉生産量は前年比103%増の5250万トンと増加する見込みである。米国農務省(USDA)によると、年前半の価格低迷および疾病の発生による小規模農家の減少分を、大規模な商業的経営による増産が上回る形で、生産が増加している。 2011年の輸入量は41万トンと増加する見込みである。2009年4月に米国で発生したインフルエンザH1N1(以下、H1N1)に起因して同国の一部の州からの輸入が禁止されていたが、2010年5月から再開されたこともあり、米国を中心に豚肉輸入が増加傾向にある。
2. 最近の需給状況飼料価格の上昇が続く中、寒波による子豚などの死亡率の上昇や、10月〜11月に東北部における口蹄疫の発生の影響で、小規模農家を中心に飼養頭数が一時的に減少した。国内で続くインフレ抑制対策として、旧正月(2011年2月3日)前の6週間にわたり政府備蓄の放出が行われた。また、昨年の9月ごろから豚肉の価格上昇を受け大規模生産者による母豚の導入ペースが上昇し、生産量の改善が期待されるものの、肥育・出荷が安定するのは早くとも今年上半期となるため、当面、需給の緩和は見込めない状況が続くとみられている。
一方で、需給の緩和要因としては、3月に発生した豚肉のクレンブテロール汚染による消費減退や、米国産豚肉の輸入増加を挙げることができる。 なお、豚肉需要は、気温が低下すると伸びる傾向にある。国慶節(毎年10月1日)、年末年始、旧正月(2011年は2月3日)、清明節(日本のお盆にあたる。2011年は4月5日)と冬場には大型の連休が重なることも、冬に消費が伸びる一因となっている。 3. 都市部における市場価格の推移2010年前半は母豚への奨励金(1頭当たり100元)や、大規模養豚企業への支援策などにより供給過剰気味となり、低下傾向で推移した。しかし、その後は奨励金交付対象頭数の削減、口蹄疫やPRRSの発生、高値で推移する飼料価格による経営環境の悪化などを受け生産量が伸び悩んだ一方、消費は堅調に推移していることから2010年7月以降一貫して上昇を続けている。 政府は9月および12〜1月に備蓄在庫の放出を行ったが、価格の低落にはつながっていない。2011年に入っても中国の消費者物価指数の上昇は続いており、国民生活上重要な豚肉の価格動向について、政府は注視しているものと思われる。
4. 豚肉および豚肉調製品貿易豚肉の主な加工品であるソーセージの輸出については、2010年まで毎年増加していた一方、2011年1-3月期では、前年並みの伸び率となっている。数量は少ないが、口蹄疫の影響により豚肉の生産が減少した韓国向けも伸びている。
一方、冷凍豚肉の輸入については、2008年には北京オリンピックによる消費増加から、米国産を中心に大幅に増加したが、米国で発生したインフルエンザH1N1に起因して一部の州からの輸入が2009年4月に禁止されたことから、米国産豚肉が大幅に落ち込んだ。しかし、2010年5月以降、米国からの輸入が再開されたこと、中国国内の豚肉価格が堅調であることから、豚肉の輸入は増加傾向で推移している。
米国産豚肉は2011年1〜3月までの3カ月で昨年1年間の実績を超える輸入が行われた。 |
元のページに戻る