需給動向 海外

◆飼 料◆

トウモロコシの燃料用エタノール仕向、1割増の見込み


◇絵でみる需給動向◇


燃料用は7割がトウモロコシ由来

 米国農務省(USDA)によると、中国における2009年の燃料用エタノールの生産量は2,357百万リットルと、エタノール総生産量の約3割を占めた。また、原料の7割はトウモロコシとなっており、同年にはトウモロコシ総生産量の約2%に相当する400万トンが燃料用エタノールの生産に仕向けられた。中国では、トウモロコシの主産地である吉林省など10州におけるガソリンへのエタノールの10%混合(いわゆるE10)が義務付けられており、国内で生産される燃料用エタノールは、全量がこれら特定地域でのE10用に消費される。

食料確保のため穀物のエタノール仕向けを規制

 中国政府は、第10次5カ年計画(2000年〜2005年)では、工場の新設、特定地域でのE10の使用義務付け、生産者への助成など、燃料用エタノールの生産を奨励する政策をとった。ところが、これに続く第11次5カ年計画(2006年〜2010年)では、食料安全保障の観点から穀物の自給を維持する政策が優先され、工場の新設を認めないこととされた。これを受け、国家発展改革委員会が2007年に策定した「トウモロコシ高度加工業健全発展に関する指導意見の通知」では、燃料用エタノールについては、黒竜江省などに立地する既存施設で主に生産し、トウモロコシを主原料とする施設は新たに建設しないことと規定されている。

 燃料用エタノール生産施設は現在5カ所あり、このうち4カ所は第10次5カ年計画期間中の2003年に新設された。これら4施設は、いずれも穀倉地帯に立地し、原料の8割をトウモロコシに依存している。残り1か所は、第11次計画期間中の2008年に、キャッサバ生産地である広西チワン自治区で操業を開始した。

図13 中国における燃料用エタノール生産量の推移
資料:USDA「China-Peoples Republic of, Biofuels Annual Report」(2011.5.4公表)
  注:2010年以降は推定値。
表8 中国における燃料用エタノール生産施設の概要
資料:USDA「China-Peoples Republic of, Biofuels Annual Report」(2011.5.4公表)
  注:2010年の生産量は、施設の能力ベースである。

仕向量は2011年まで1割増で推移か

 燃料用エタノールの生産量は、既存工場での生産体制となった第11次5カ年計画中もE10需要の伸びに対応する形で増加し、今後も一定程度は増加が続くとみられる。中国では、エネルギー需要に占める非化石エネルギーの割合を2020年末までに15%まで高めるとの目標の下、スイートソルガムなどのバイオマス資源の利用が試行されている。しかし、現段階では調達量などの面からトウモロコシを代替する水準に達していないことから、USDAは、トウモロコシの燃料用エタノール仕向量は、毎年1割程度増加し、2011年には475万トンに達すると見ている。


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