需給解説

平成22年度乳製品の
流通実態調査結果の概要

畜産需給部 乳製品課

【要約】

 当機構では、22年度において「乳製品の流通実態調査」を実施した。本調査対象は、乳製品の供給者である乳業メーカー、需要者である食品製造業、外食業やホテル業であり、21年度に生産された乳製品の業種別の仕向先や需要者の用途について取りまとめた。以下に、バターと脱脂粉乳の調査結果の概要を紹介するが、業種別・用途別消費動向を見ると、仕向先別では、①バターは「菓子・パンメーカー」、「小売業」、「乳業(バターを生産している)メーカー」が多く(計72.4%)、②脱脂粉乳は「乳業(脱脂粉乳を生産している)メーカー」、「乳業(脱脂粉乳を生産していない)・アイスクリームメーカー」、「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」が多かった(計81.0%)。また、バター・脱脂粉乳を原料として製造される製品を用途別に見ると、①バターでは「小売用」、「菓子・デザート類」、「パン類」が多く(計56.3%)、②脱脂粉乳では「はっ酵乳・乳酸菌飲料」、「乳飲料」が多かった(計55.0%)。

バター

1 業種別消費量(推計)

 平成21年度における国内のバターの推定消費量は、77,600トン(農畜産業振興機構調べの推定出回り量)とし、その業種別の消費量推計を行った結果は次のとおりである。

 バターの流通経路と業種別消費量(推計)を図1、表1に示した。乳業メーカーのバターの推定供給量は77,600トンで、そのうち国産バターが71,400トン、輸入バターが6,200トンとなっている。また、供給量のうち、社内消費仕向が16.1%、社外販売が83.9%となっている。社外販売量65,100トンのうち、需要者に直接販売されるのは10,300トン(全体の13.3%)にすぎず、一次卸売が54,500トン(70.2%)を占める。なお、二次卸売を経由するのは17,600トン(22.7%)となっている。一次卸とは、主に大手乳業系列販社、乳製品卸、大手食品卸である。

図1 バターの流通ルート(平成21年度推計)
単位:トン、%
注:乳業のうち、バターを生産していないメーカー。
表1 バターの業種別消費量(21年度推計)

 業種別消費量について見ると、「菓子・パンメーカー」が23,500トン(全体の30.3%)で最も多く、次いで「小売業」が20,200トン(26.0%)、「乳業(バターを生産している)メーカー」が12,500トン(16.1%)、「外食・ホテル業」が8,200トン(10.6%)、「乳業(バターを生産していない)・アイスクリームメーカー」が5,600トン(7.2%)、「加工油脂メーカー」が3,200トン(4.1%)、「調理食品メーカー」が2,600トン(3.4%)、「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」が500トン(0.6%)、「飲料メーカー」が300トン(0.4%)となっている。国産バター71,400トンの内訳は、「菓子・パンメーカー」が32.4%で、以下「小売業」が28.2%、「外食・ホテル業」が11.2%、「乳業メーカー」が10.8%、「乳業・アイスクリームメーカー」が7.1%、「加工油脂メーカー」が4.3%となっている。また、輸入バター6,200トンの内訳は「乳業メーカー」が77.4%を占め、以下、「乳業・アイスクリームメーカー」が8.1%、「菓子・パンメーカー」が6.5%となっている。

 次に、平成17年度からの業種別消費量の推計値の推移を図2に示した。消費量合計の推移を見ると、17年度以降19年度にかけて増加傾向で推移していたものの、20年度は原料乳の供給が逼迫したこと等から80,000トン台を割り込み77,900トン、さらに、21年度は77,600トンとなった。

図2 バターの業種別消費量の推移
単位:トン
(注)各年度により調査先が異なる

 業種別内訳の推移を見ると、17年度以降、「菓子・パンメーカー」の消費量が最も多くなっており、18年度をピークに減少傾向に推移し、21年度は23,500トンであった。一方、「小売業」では、年によって変動はあるものの、概ね20,000トン前後で推移している。

2 用途別消費量(推計)

 バターの推定消費量77,600トンの用途別の消費量を推計して見ると、「小売用」が20,200トン(全体の26.0%)で最も多く、次いで「菓子・デザート類」が12,700トン(16.4%)、「パン類」が10,800トン(13.9%)、「外食・ホテル用」が8,200トン(10.6%)、「乳等主要原料食品」が5,600トン(7.2%)、「マーガリン類」が4,200トン(5.4%)、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が4,100トン(5.3%)、「乳飲料」が3,300トン(4.3%)、「調理食品」が2,800トン(3.6%)、「アイスクリーム類」が2,100トン(2.7%)、「加工乳」が1,000トン(1.3%)となっている(図3、表2)。

図3 バターの用途(平成21年度推計)
表2 バターの用途別消費量(21年度推計)

 国産バターの内訳は、「小売用」が28.2%、「菓子・デザート類」が17.6%、「パン類」が15.0%、「外食・ホテル用」が11.2%、「乳等主要原料食品」が7.3%、「マーガリン類」が4.6%、「調理食品」が3.9%、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が3.8%、「乳飲料」が2.4%、「アイスクリーム類」が2.0%、「加工乳」が1.1%となっている。また、輸入バターの内訳は「乳飲料」が25.8%、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が22.6%、「マーガリン類」が14.5%、「アイスクリーム類」が11.3%等となっている。

 次に、平成17年度からの用途別消費量の推計値の推移を図4に示した。用途別内訳の推移を見ると、「小売用」の消費量が各年度とも最も多くなっており、年度により増減はあるものの、20,000トン前後で推移している。次いで「菓子・デザート類」が、19年度までは増加傾向で推移していたが、20年度で大きく減少し、21年度は12,700トンとなっている。

図4 バターの用途別消費量の推移
単位:トン
(注)各年度により調査先が異なる。

脱脂粉乳

1 業種別消費量(推計)

 平成21年度における国内の脱脂粉乳の推定消費量は、149,900トン(農畜産業振興機構調べの推定出回り量)とし、その業種別の消費量推計を行った結果は次のとおりである。

 脱脂粉乳の流通経路と業種別消費量(21年度推計)を図5、表3に示した。乳業メーカーの脱脂粉乳の推定供給量は149,900トンで、そのうち国産脱脂粉乳が144,000トン、輸入脱脂粉乳が5,900トンとなっている。また、供給量のうち、乳業の社外販売が64.4%、社内消費仕向が35.6%となっている。社外販売量96,600トンのうち、需要者に直接販売されるのは23,400トン(全体の15.6%)であり、一次卸売が73,100トン(48.8%)となっている。また、二次卸売を経由するのは11,700トン(7.8%)となっている。一次卸売とは、主に大手乳業系列販社、乳製品卸、大手食品卸である。

図5 脱脂粉乳の流通ルート(平成21年度推計)
単位:トン、%
注:乳業のうち、脱脂粉乳を生産していないメーカー。
表3 脱脂粉乳の業種別消費量(21年度推計)

 業種別消費量について見ると、「乳業(脱脂粉乳を生産している)メーカー」が53,300トン(35.6%)で最も多く、次いで「乳業(脱脂粉乳を生産していない)・アイスクリームメーカー」が42,100トン(全体の28.1%)、「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」が26,000トン(17.3%)、「菓子・パンメーカー」が9,600トン(6.4%)、「調理食品メーカー」が5,600トン(3.7%)、「飲料メーカー」が5,100トン(3.4%)、「加工油脂メーカー」が4,700トン(3.1%)となっている。

 国産脱脂粉乳144,000トンの内訳は、「乳業メーカー」が35.9%で最も多く、以下「乳業・アイスクリームメーカー」が26.9%、「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」が17.6%、「菓子・パンメーカー」が6.6%となっている。また、輸入脱脂粉乳5,900トンの内訳は、「乳業・アイスクリームメーカー」が55.9%で最も多く、以下「乳業メーカー」、「はっ酵乳・乳酸菌飲料メーカー」となっている。

 次に、平成17年度からの業種別消費量の推計値の推移を図6に示した。消費量合計の推移を見ると、17年度202,500トンから18年度は187,400トンと減少し、19年度は197,000トンと増加に転じていたものの、20年度以降は大幅に減少し、21年度は149,900トンとなっている。

図6 脱脂粉乳の業種別消費量の推移
単位:トン
(注)各年度により調査先が異なる。

 業種別内訳の推移を見ると、「乳業メーカー」のシェアは17年度32.1%から19年度は30%台を割るものの、20年度は33.9%、21年度は35.6%と拡大傾向にある。一方、「乳業・アイスクリームメーカー」は、19年度35.4%をピークに低下傾向で推移し、21年度は28.1%と30%台を割った。

2 用途別消費量(推計)

 脱脂粉乳の推定消費量149,900トンの用途について見ると、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が57,100トン(全体の38.1%)で最も多く、次いで「乳飲料」が25,300トン(16.9%)、「飲料」が11,300トン(7.5%)、「アイスクリーム類」が9,800トン(6.5%)、「加工乳」が8,500トン(5.7%)、「乳等主要原料食品」が7,900トン(5.3%)、「調理食品」が5,700トン(3.8%)、「菓子・デザート類」が5,500トン(3.7%)、「パン類」が4,300トン(2.9%)、「マーガリン類」が2,800トン(1.9%)となっている(図7、表4)。

図7 脱脂粉乳の用途(平成21年度推計)
表4 脱脂粉乳の用途別消費量(21年度推計)

 国産脱脂粉乳の内訳は、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が39.0%、「乳飲料」が16.9%、「飲料」が7.3%、「アイスクリーム類」が5.6%、「加工乳」及び「乳等主要原料食品」がともに5.3%となっている。輸入脱脂粉乳は「アイスクリーム類」が30.5%、「乳飲料」が16.9%、「はっ酵乳・乳酸菌飲料」が15.3%、「加工乳」及び「飲料」がともに13.6%となっている。

 次に、平成17年度からの用途別消費量の推計値の推移を図8に示した。用途別内訳の推移を見ると、過去5年間で「はっ酵乳・乳酸菌飲料」「乳飲料」の順位に変動はない。この上位二つが用途別消費量のシェアで過半を占めている。

図8 脱脂粉乳の用途別消費量の推移
単位:トン
(注)各年度により調査先が異なる。

 また、「飲料」は17年度4.9%から21年度は7.5%と年々上昇傾向にある。


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