需給動向 海外

◆豪 州◆

生乳生産量は前年並みも、乳製品輸出は好調


◇絵でみる需給動向◇


生乳生産量は、前年並みの水準で推移

 デイリー・オーストラリア(DA)によると、2011年3月の生乳生産量は、前年同月比0.7%増の64万キロリットルとなり、また、2010/11年度(7月〜6月)の3月までの累計でも、前年並みの716万キロリットルにとどまった。これは、豪州の生乳生産量の6割程度を占めるビクトリア(VIC)州およびタスマニア(TAS)州は、増加傾向であるものの、ニューサウスウェールズ(NSW)州、クイーンズランド(QLD)州、南オーストラリア(SA)州が減少基調であったことが影響している。

乳製品輸出額は、粉乳の増加が顕著

 2010/11年度の3月までの乳製品輸出量は、前年同期比2.3%増の58万7千トンとなった。このうち粉乳類は、中国をはじめとするアジア圏からの引き合いが強く、脱脂粉乳は同21.5%増の12万3千トン、全粉乳は同7.9%増の9万9千トンと、いずれも増加した。また、輸出額についても、脱脂粉乳は、同48.1%増の3億9830万豪ドル(366億円:1豪ドル=92円)、全粉乳は同22.4%増の3億8494万豪ドル(354億円)と、いずれも大幅に増加した。

表5 3月までの乳製品輸出量
(トン)
資料:DA
表6 3月までの乳製品輸出額
(豪ドル)
資料:DA

2010/11年度の酪農家収益は黒字転換へ

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)が公表した、農業経営に関する調査「ファームサーベイ」によると、2010/11年度における酪農家の収益は、乳価の引き上げによる現金収入の増加や、飼料費などの減少が期待出来ることから、1戸当たり5千豪ドル(46万円)の黒字になると見込まれる。

 地域別にみると、南部に属するVIC州、TAS州、SA州およびNSW州の南部は、乳価の引き上げやかんがい用水使用可能量の増加、生乳生産量の増加の恩恵を受け、収益を伸ばすと見込まれる。一方、QLD州およびNSW州の北部については、低い乳価や低調な生乳生産のあおり受け、収益は減少するとしている。

表7 酪農家1戸当たりの経営状況
(豪ドル)
資料:ABARES
注1:④=③+流動資産の評価額の変化−減価償却費−家族労働費
注2:2009/10年度は暫定値、2010/11年度は予測値

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