需給動向 海外 |
脱脂粉乳の介入買入在庫、3回連続で放出見送り |
4月の乳製品卸売価格は下落するも依然として高水準で推移EU域内における乳製品卸売価格は、域内の旺盛な需要や乳製品の国際価格の上昇などを受け、昨年末から高騰していた。しかし、域内生乳生産がピークを迎える春先を迎え、4月の域内卸売価格は、脱脂粉乳が前月比15.1%安の100キログラム当たり225ユーロ(約27,675円。1ユーロ=123円)と急落し、バターも3カ月ぶりに前月を下回る同402ユーロ(約49,446円)となった。(図10、11)ただし、依然として脱脂粉乳は介入買入価格の4割高、バターは同7割高という高水準に変わりはない。
現地関係者の話によると、ここ数カ月の高価格帯では一部買い控えの気配が観測されていたもようだが、卸売価格の下落を受け需要は回復の兆しをみせており、夏場にかけて域内価格は再上昇すると見る向きも多いとのことである。 なお、バターの民間在庫補助として約2万5千トン程度が市場から隔離されているが、これはクリスマス需要を満たすものとして認識されており、価格相場への影響は限定的とみられる。 脱脂粉乳の介入買入在庫、約5万2千トンで変動せずこうした中、乳業管理委員会は4月20日、脱脂粉乳の介入買入在庫放出の入札を行った。今回の入札では、応札数量は300トン、応札価格は100キログラム当たり190〜210ユーロ(約23,370〜25,830円)であった。しかし、域内価格を下回る水準での放出は市場に悪影響を及ぼすとの判断から、放出は行われなったもようである。 脱脂粉乳の介入買入在庫は、2009年の域内卸売価格低迷時に買い入れが行われ、計約25万トンが市場から隔離された。大量の在庫を抱えたEU当局は、同年中に、一部を生活困窮者向けに仕向けると決定した。(注) 2010年に入ると、域内卸売価格が回復したことに伴い、5月以降同在庫を放出し、年末時点で約9万トンまで減少している。2011年に入ると、域内卸売価格の高騰を反映し、1〜2月の短期間に約4万6千トンもの放出が行われ、在庫量は約5万2千トンと急減した。 その後、域内卸売価格が依然として高水準(介入買入価格の約6割高)で推移する中、今回を含め4回の入札が行われた。いずれも一定の応札があったにも関わらず、3月3日の約300トン以外除き、放出が行われることはなかったため、約5万2千トンという在庫量は変動していない。(図12)
また、2011年の最低落札価格を見ると、入札の度に上昇しているものの、常に域内卸売価格を下回っていることから、欧州委員会が域内市場を刺激しない水準に落札価格を設定していることが読み取れる。欧州委員会としては、2007年のような記録的な乳製品価格の高騰を抑制するため、一定水準の介入在庫を保有したいのではとも推察される。 なお、毎月2回(第1・3木曜日)開催されていた同委員会については、5月以降毎月1回(第3木曜日)の開催へと変更され、次回は5月19日(木)の予定となっている。 (注)生活困窮者向け在庫(約9万4千トン)の放出は、6月〜9月に実施される見込みとなっている。 |
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