需給動向 海外

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2010年の豚肉、豚肉製品の域外輸出量、前年比17.1%増


◇絵でみる需給動向◇


冷蔵・冷凍豚肉が24.9%増と顕著に増加

 英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、2010年におけるEUの豚肉、豚肉製品の域外輸出量は前年比17.1%増の267万トンとなった。中でも冷蔵・冷凍豚肉が同24.9%増と顕著な伸びを示している。

 冷蔵・冷凍豚肉の増加の要因は、主要輸出先であるロシアおよび日本向けが増加したことが大きい。ロシア向けは、為替がユーロ安であったこと、ロシア政府が米国からの豚肉輸入を衛生上の理由から制限したことによりドイツ産への代替需要が急増したことを受け、30万5千トンと増大した。日本向けは、ロシアと同様為替の影響が大きかったことに加え、口蹄疫の発生で日本の豚肉生産量が減少したことを受け、デンマークを中心に22万トンが輸出された。そのほか、第3位の香港向けを除き、韓国、ベラルーシ、中国向けでいずれも増加となっている。

 また、輸出国としてはデンマークが首位となっており、ドイツ、フランス、ポーランド、スペインが続いている。これらの国からの輸出量は、英国を除き、総じて増加した。

 内臓肉、豚脂(ラードなど)については、計121万6千トンが域外輸出され、それぞれ同11.0%増、同13.0%増となった。これは、冷蔵・冷凍豚肉に匹敵する量であり、安価なではあるものの、EUの豚肉産業にとって重要な位置を占めていると言えよう。内臓肉の主要輸出先は香港、中国、ロシアであり、これら3カ国・地域で全体の8割を占めている。豚脂については、約7割を占めるロシアが主要輸出先となっている。

 加工製品の輸出は年々増加しており、2010年はソーセージが同3.5%増、ベーコンが同15.2%増、ハムなどが同10.1%増となった。加工製品の主要輸出先はロシアであるが、ソーセージについてはアンゴラ向けも多いのが特徴である。

 なお、生体豚の域外輸出については、2010年は同27%減の160万頭で、記録的な減少となった。この原因としては、ロシア政府が生体豚輸入に係る課徴金を引き上げたことにより、同国向けが減少したことが挙げられている。

 生体豚の域内流通については、今月号の海外情報「デンマークにおける生体豚取引の活性化と日本への影響」を参照願いたい。

表1 EUにおける豚肉、豚肉製品の域外輸出量
(千トン)
資料:AHDB、欧州委員会

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