需給動向 海外 |
牛の総飼養頭数は減少、肉用牛価格は堅調に推移 |
飼養頭数は、前年比1.4%減米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が1月28日に公表した牛の飼養動向調査「Cattle」によると、2011年1月1日現在の牛総飼養頭数は、前年を1.4%下回る9258万2千頭となった。これは、1959年以降の過去52年間で最低となる。 米国のキャトルサイクルは、約10年を波長とする変動を繰り返しながら1975年(1億3202万8千頭)をピークに減少傾向にある。2008年以降は減少局面に入り、テキサスおよび南東部における干ばつや飼料穀物価格の高騰、さらには景気の低迷によりこの4年間で442万1千頭減少した。 子牛生産頭数は、1950年以降で最少飼養頭数を部門別に見ると、肉用牛生産の指標となる繁殖雌牛は前年比1.1%減の4001万4千頭となった。このうち、約8割を占める肉用繁殖雌牛は同1.6%減の3086万5千頭と、5年連続で前年を下回り、乳用繁殖雌牛は同0.7%増の915万頭となった。 また、未経産牛のうち更新用肉用牛については、2010年は干ばつにより、生産者が多くの後継牛を手放したとみられることから、同5.4%減の515万8千頭となった。一方、更新用乳用牛は同0.7%増と、最も頭数の多かった1986年(476万頭1千頭)並みの水準となった。乳用繁殖雌牛頭数も前年を上回っていることから、今後の生乳供給は牛肉とは異なり十分と予想される。
なお、牛肉生産の指標となる2010年の子牛生産頭数は前年比0.7%減の3568万5千頭と、1950年以降で最少となった上、フィードロット外の肥育素牛頭数も2667万7千頭と、前年を3.4%下回ったため、今後の素牛の供給はひっ迫傾向で推移するとみられる。
肥育素牛、肥育牛価格ともに前年同月比20%高2011年の肉用牛の供給不足が懸念される中、2011年1月の肥育素牛価格は、前年同月比28.0%高の100ポンド当たり128.25ドル(キログラム当たり約235円:1ドル=83円)と前年を大幅に上回り、歴史的に高い水準となった。また、肥育牛価格も同26.8%高の同105.8ドル(194円)と2010年1月以降前年を上回って推移している。 USDAによると、2011年の価格は、肥育素牛が前年比3.0〜9.6%高、肥育牛は同3.8〜11.0%高と、いずれも堅調に推移すると予測している。 このように、肥育素牛価格は極めて高い水準にあるが、景気低迷の影響は強く、個々の生産者は、牛群を再構築するより雌牛を売却し収益を確保しようとする傾向にあるとみられ、「Cattle」の調査結果を見る限り、減少局面にあるキャトルサイクルが底を打つ様相はまだみられない。需給がひっ迫し、肉牛価格が高騰する中、肉用牛繁殖農家がいつ牛群の再構築に向かうのか動向が注目される。
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