需給動向 国内 |
23年1月のトウモロコシ国際価格は急騰、2008年秋期以来の高水準へ |
平成23年1月のトウモロコシ国際価格(シカゴ定期相場)は、2カ月連続して前月を上回る前月比7.4%高のブッシェル当たり660米セントと急騰し、2008年秋期以来の高水準となった。シカゴ定期相場は、10月に同600米セントに迫る急騰を見せ、11月にはいったん下落に転じたものの、12月には同600米セントを超えていた(図8)。
この高騰は、ロシア政府が大規模な干ばつに伴い穀物輸出の禁止措置(2010年8月)を行い、世界の穀物需給のひっ迫懸念が顕在化したことが発端と考えられる。その後、中国の穀物(トウモロコシ、大豆)需要の増大懸念、2010年12月に米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が発表したトウモロコシ在庫量が史上2番目の低水準となるとの予測、小麦輸出国である豪州での大規模な洪水(2010年12月〜2011年1月)などにより、ひっ迫傾向はさらに強まった。また、欧州の金融不安や米国の金融緩和策を受け行き場を失った投機資金が大量に穀物市場に流入したことが上昇傾向に拍車を掛けたとも指摘されており、今後の穀物相場は引き下げ要因が見当たらない状況となっている。 その後、2月9日には、USDA/WAOBが公表した世界農産物需給推計の月次報告において、需要予測が上方修正されたことに伴い在庫予測が下方修正された。USDAの予測は市場関係者の予想を上回る減少幅であったため、この直後のシカゴ相場は同700米セントの大台を超える上昇を見せた。 海上運賃についても依然として高水準で推移していることに変わりはない。唯一のプラス要因は円高で推移する為替状況であるが、トウモロコシ価格上昇分を完全にカバー出来る状態にはほど遠い(図9)。
口蹄疫や鳥インフルエンザ対策など衛生関係の経費もかさむ状況下において、畜産農家のコスト削減努力は限界にまで達しているとの声も聞かれる。これ以上価格が高騰すると、日本の畜産農家は深刻な打撃を受ける恐れがあるだけに、シカゴ定期相場の動向についてはこれまで以上に注意を払って参りたい。 |
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